問 題
個人と集団に関する理論についての記述A~Dのうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。
A.C.H.クーリーは,家族,子どもの遊び仲間,大人の近隣集団や地域集団のように,フェイス・トゥ・フェイスの親密な結び付きと協同によって特徴付けられ,個人の社会性と理想の形成にとって基本的な集団を,第一次集団と呼んだ。
B.K.マンハイムは,個人と集団との関係について研究し,19 世紀までの近代社会においては,他人の行動に照準を合わせて行動する他人指向型が,現代大衆社会においては,伝統的な価値観に回帰し,その価値観に基づいて行動する伝統指向型が支配的になるとした。
C.R.K.マートンは,将来参加するであろう社会システムの価値や規範,あるいは将来付与されたり獲得するであろう地位や役割に関する知識や態度,技能などを学習することを予期的社会化と呼んだ。
D.A.ギデンズは,村,町,国などの広い範囲の共同生活の領域を表す概念をアソシエーションとし,アソシエーションを共通基盤として,その上に人々の意思によって形成される人的結合体をコミュニティとした。
1.A,B
2.A,C
3.B,C
4.B,D
5.C,D
解 説
記述 A は妥当です。
クーリーについての記述です。(類題 H27no56)
記述 B ですが
リースマンが「孤独な群衆」で提起した、人間の社会的性格についての記述です。マンハイム(参照 H28no51) ではありません。また、伝統→内部→他人指向 へと変化すると考えました。記述 B は誤りです。
記述 C は妥当です。
マートンについての記述です。(参照 H27no52)
記述 D ですが
アソシエーションとコミュニティについては、マッキーバーの定義が代表的です。マッキーバーによれば、コミュニティが「一定地域で展開される自主的共同生活」です。アソシエーションが「一定目的達成のための社会組織」です。
以上より、妥当な記述は A,C です。正解は 2 です。
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