公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.51解説

 問 題     

国際政治史に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.フランス革命への列強の干渉は,ナポレオンの台頭を招き,かえってフランスの領土の拡張を引き起こした。長く続いたフランスとの王位継承戦争を勝ち抜いたヨーロッパ諸国は,勢力均衡の原理に基づくヨーロッパの秩序の回復を目指した外交会議を,ウェストファリアで開催した。

2.第一次世界大戦によって,勢力均衡による19 世紀のヨーロッパの秩序は終焉した。米国の T.ローズベルト大統領は,戦争の違法化を提唱するとともに,国際共同体が団結して侵略者に対抗するための民族自決の原理を取り入れた国際連盟の設立を主導した。

3.20 世紀後半に脱植民地化の運動が進み,多くの新興独立国が生まれると,国際的な経済格差の問題が顕在化し,開発援助が活発になった。2000 年には国際連合ミレニアム開発目標(MDGs)が設定され,現在では持続可能な開発目標(SDGs)に引き継がれている。

4.1945 年の国連憲章で明文化された主権平等の考え方は,その後の様々な地域的な安全保障制度の根拠となった。典型例は,北大西洋条約機構(NATO)やワルシャワ条約機構(WTO)のような地域機構である。冷戦終焉後,NATO は消滅し,WTO は拡大した。

5.経済的な交流が深まり,諸国が相互に依存する状態が生まれると,軍事的な衝突の可能性は低下するという考え方を,覇権安定論といい,20 世紀後半に盛んになった。これに対してリベラリズムの見方では,相互依存は,かえって利益の獲得を目指す国家間の紛争の可能性を高めるとされている。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
ウェストファリア条約は 1648 年結ばれた条約です。フランス革命(1789 年)以降の条約ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
民族自決の原理を取り入れた国際連盟の設立を主導したのは、W.ウィルソンです。(2019no52)。「T.ローズベルト」ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
ミレニアム開発目標(MDGs)及び、持続可能な開発目標(SDGs)についての記述です。

選択肢 4 ですが
地域機構とは、ある地域の国々が,政治や経済の協力を進めるために結成する組織のことです。具体例はアフリカのアフリカ統一機構(OAU),東南アジアの東南アジア諸国連合(ASEAN)などです。(2019no53)。北大西洋条約機構(NATO)やワルシャワ条約機構(WTO)は軍事同盟です。地域機構ではありません。また、消滅したのが ワルシャワ条約機構です。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
覇権安定論とは、覇権国というべき最強国が国際社会の安定に責任を持って行動することによって初めて国際秩序は維持されるという考え方です。記述は相互依存論です。(H28no51)。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

コメント