公務員試験 2019年 国家一般職(行政) No.46解説

 問 題     

経営組織に関する ア~エ の記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.C.I.バーナードは,成立した組織が存続するための条件として有効性と能率を挙げた。有効性とは組織の共通目的を達成できる程度のことであり,能率とは組織に参加する個人から十分な貢献を確保できる程度のことである。また,個人からの貢献を確保するためには,組織は個人の動機を満たすだけの誘因を提供する必要があるとした。

イ.F.W.テイラーは,米国の工場で問題となっていた自然的怠業に焦点を当てて改善に取り組んだ。彼は,各作業者のモチベーションの維持のためには,各作業者自身に1 日で達成する作業量の目標を設定させ,目標を達成できた場合には,見返りとして,名声やより高い職位などの金銭以外の報酬を与えることが必要であるとした。

ウ.J.H.ファヨールは,1960 年代に『産業ならびに一般の管理』の中で,管理的職能は,①計画すること(Plan),②行動すること(Do),③評価すること(Check),④改善すること(Action)の四つの要素で構成されるとした。また,彼は上記の管理の要素は①から④の順に繰り返し実施されることを指摘し,このサイクルを「PDCA サイクル」と呼んだ。

エ.J.G.マーチ,J.P.オルセンらは,現実の組織的意思決定を分析する枠組みとして,ゴミ箱モデルを提唱した。このモデルでは解決すべき問題がゴミ箱のような役割を果たし,そこに選択機会や意思決定者のエネルギーなどが順序立てて投げ込まれる。そして,ゴミ箱の容量とは無関係に,解が一つ投げ入れられた時点で意思決定が行われるとした。

1.ア
2.ア,イ
3.イ,ウ
4.ウ,エ
5.ア,ウ,エ

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

記述 ア は妥当です。
バーナードの組織論についての記述です。参考 H29no46 選択肢 3 

記述 イ ですが
テイラーは、怠業における「組織的怠業」に注目しました。(H30 no50)。自然的怠業ではありません。記述 イ は誤りです。

記述 ウ ですが
ファヨールは,経営における管理的職能を「五つ」の構成要素(予測,組織,命令,調整,統制)に区分して,その重要性を説きました。(H29no46 選択肢 4)。四つの要素ではありません。記述 ウ は誤りです。

記述 エ ですが
コーエン、マーチ、オルセンらのゴミ箱モデルは、目標や因果関係が不明確な「あいまい性」下での意思決定を説明するモデルです。意思決定の要素として 「問題,解,参加者,選択機会」の4つを想定しました。そして、選択機会を「ゴミ箱」にたとえ、そこに問題、解、参加者というゴミが投げいれられ、ある時の結びつきに基づいて意思決定が行われると考えました。問と解が独立しているという点がポイントです。「解決すべき問題がゴミ箱のような役割を果た」すわけではありません。

以上より、正解は 1 です。

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