公務員試験 2019年 国家一般職(行政) No.25解説

 問 題     

法定地上権に関する ア~オ の記述のうち,判例に照らし,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.民法第388 条は土地又は建物のいずれか一方のみに抵当権が設定された場合を規定するものであり,同一の所有者に属する土地及びその上に存する建物が同時に抵当権の目的となった場合には,同条は適用されず,法定地上権は成立しない。

イ.Aが所有する土地に抵当権が設定・登記された当時,当該土地上に建物が存在せず,更地であった場合には,その後,当該土地上にA所有の建物が築造され,抵当権の実行により当該土地がBに競落されたとしても,原則として,法定地上権は成立しない。

ウ.AとBが共有する土地の上にAの所有する建物が存在する場合において,Aが当該土地の自己の共有持分に抵当権を設定・登記し,これが実行されて当該土地がCに競落されたときは,Bの意思にかかわらず,法定地上権が成立する。

エ.土地の所有者Aが当該土地上の建物をBから譲り受けたが,当該建物の所有権移転登記を経由しないまま当該土地に抵当権が設定・登記された場合において,抵当権の実行により当該土地がCに競落されたときは,法定地上権は成立しない。

オ.Aが所有する土地に一番抵当権が設定・登記された当時,当該土地上の建物をBが所有していた場合には,その後,Aが当該建物をBから譲り受け,当該土地に後順位抵当権が設定・登記されたとしても,一番抵当権が実行され,当該土地がCに競落されたときは,法定地上権は成立しない。

1.ア,イ
2.ア,ウ
3.イ,オ
4.ウ,エ
5.エ,オ

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

地上権は「土地上の建物所有者が、土地を利用する権利」です。そして、法定地上権とは、土地、建物を同一人物が所有しているケースにおいて、土地か建物に抵当権設定後、抵当権実行、競売を経て土地と建物の所有者が異なった場合に、地上権設定とみなすという規定が「法定地上権」です。

法定地上権が成立するポイントは
1:抵当権設定当初、土地上に建物あり、更地ではない
2:抵当権設定当初、土地と建物の所有権が同じ です。(H26no24 より)

記述 ア ですが
法定地上権成立ポイント 2 つを満たしています。従って、法定地上権が成立します。記述 ア は誤りです。

記述 イ は妥当です。

記述 ウ ですが
ポイント 2 により、「B の意思に関わらず」ではないと考えられます。記述 ウ は誤りです。

記述 エ ですが
登記がなくても所有権は A に移っており、ポイント 1,2 を満たすため、法定地上権は成立すると考えられます。記述 エ は誤りです。

記述 オ は妥当です。

以上より、正解は 3 です。

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