公務員試験 2019年 国家一般職(行政) No.26解説

 問 題     

保証に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。ただし,争いのあるものは判例の見解による。

1.保証人が保証債務を承認した場合,主たる債務の時効も中断するが,主たる債務者が主たる債務を承認したとしても,保証債務の時効は中断しない。

2.主たる債務者に対する履行の請求による時効の中断は,保証人に対しては,その効力を生じない。

3.主たる債務が時効で消滅した場合において,主たる債務者が時効の利益を放棄したときであっても,保証人は主たる債務の時効を援用することができる。

4.主たる債務者の委託を受けない保証人が,主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって主たる債務を消滅させる行為をした場合において,保証人となったことが主たる債務者の意思に反しないときは,保証人は,主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償することができる。

5.保証債務は,保証人と債権者との間の保証契約によって成立するほか,保証人と主たる債務者との間の保証委託契約によっても成立する場合がある。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1,2 ですが
民法 457 条によれば、主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生じます。そして、逆に保証人が債務の承認​をしたり債務の一部返済をした場合であっても、主債務の時効は更新されません。選択肢 1,2 は共に誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
時効利益の放棄は絶対効ではなく、相対効です。従って、主たる債務者が放棄しても、保証人は時効の援用ができます。

選択肢 4 ですが
委託なし、かつ、債務者の意思に反しない場合は、民法 462 条 1 項により、第 459 条の 2 第 1 項の規定が準用されて、保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有します。一方、委託なし、かつ、債務者の意思に反していた場合は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。この場合において、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。とされています。「意思に反しない場合」なのに、「現に利益を受けている限度においてのみ」となっているため、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
債権者と保証人になろうとする者との合意(契約)により保証債務は成立します。主たる債務者は、保証債務を成立させるための契約の当事者ではありません。従って、保証人と主たる債務者との間での契約によって保証債務が成立することはありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。
類題 H27no26

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