慢性関節リウマチ治療薬

関節リウマチとは、自己免疫疾患の1つであり、関節の慢性炎症です。III 型アレルギーに分類される滑膜炎です。

リウマチ治療薬は作用機序に基づき、大きく4つに分類されます。

   ⅰ.金化合物
   ⅱ.SH 基(チオール)製剤
   ⅲ.生物学的製剤
   ⅳ.免疫抑制剤

ⅰ.金化合物

このタイプの代表的な薬は
   ・金チオリンゴ酸ナトリウム(シオゾール)
   ・オーラノフィン(リドーラ)
などが挙げられます。(  )の中が商品名の一例になります。

金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィンは、金化合物です。金が体内の硫黄に対し高親和性を示し、種々のチオール基(SH)が関与する酵素を阻害することによって効果を表します。

金チオリンゴ酸ナトリウムは、筋注で用いられます。

オーラノフィンは、経口で用いられます。

ⅱ.SH 基(チオール)製剤

このタイプの代表的な薬は
   ・D-ペニシラミン(メタルカプターゼ)
   ・ブシラミン(リマチル)
などが挙げられます。

D-ペニシラミン、ブシラミンは、SH 基(チオール)製剤です。免疫複合体のジスルフィド結合(S-S結合)に働いて解離させることにより作用します。又、キレート作用があり、銅沈着を主徴とするウイルソン病に用いられます。

ペニシラミンには、重症筋無力症や、無顆粒球症といった重篤な副作用が知られています。ブシラミンは、重篤な副作用がペニシラミンほどはないという特徴があります。

ⅲ.生物学的製剤

このタイプの代表的な薬は
   ・インフリキシマブ(レミケード)
   ・エタネルセプト(エンブレル)
   ・トシリズマブ(アクテムラ)
などが挙げられます。

インフリキシマブ、エタネルセプト、トシリズマブは、生物学的製剤です。

インフリキシマブは、遺伝子組み換え抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体です。TNF-αとは、炎症性サイトカインの一つです。TNF-αに対してインフリキシマブは選択的に結合することで、炎症を抑制します。

エタネルセプトは、遺伝子組み換え完全ヒト型可溶性 TNF-α/LT-α受容体製剤です。エタネルセプトは、過剰の TNF-α をキャッチする、おとり受容体として働きます。これにより、細胞表面の TNF-α 受容体と、TNF-α の結合を抑制することにより炎症を抑制します。

トシリズマブは、遺伝子組み換えヒト化ヒト IL-6 受容体モノクローナル抗体です。IL-6 受容体に結合することにより、IL-6 の活性発現を抑制し、炎症を抑制します。

ⅳ.免疫抑制剤

このタイプの代表的な薬は
   ・メトトレキサート(メソトレキセート)
   ・レフルノミド(アラバ)
   ・ロベンザリットニナトリウム(カルフェニール)
   ・アクタリット(オークル)
   ・サラゾスルファピリジン(サラゾピリン)
などが挙げられます。

メトトレキサート、レフルノミド、ロベンザリットニナトリウム、アクタリット、サラゾスルファピリジンは、免疫抑制剤です。

メトトレキサートは投与法が特徴的であり、1 週間単位の投与量を 6 mgとし、初日から 2 日目にかけて 12 時間毎に 2mg を 3 回投与後、残り 5 日間休薬というサイクルを1週間ごとに繰り返します。又、メトトレキサートは、白血病に対して、リウマチ治療時よりも高用量で用いられることがあります。

代表的なリウマチ治療薬をまとめると、以下の表になります。

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