アミンの付加反応・Grinard試薬の反応

前項に引き続き、アルデヒドまたはケトンに対する求核付加反応について説明をします。

第一級アミンの付加反応

アルデヒドやケトンに第一級アミンを反応させると、アミンの付加反応に続く脱水反応が起こり、結果、イミンが生成します。イミンとは、アルデヒド(またはケトン)のカルボニル基(C=O)の部分がイミノ基(C=N-R)になっているような化合物です。

また、この反応の反応機構は以下のとおりです。

求核剤が第一級アミンだけではなく、アンモニアでも同様の反応が起こります。

第一級アミンの中でも、ヒドロキシルアミンやヒドラジンなど、特徴的な構造を持ったアミンを使うと、その生成物もオキシムやヒドラゾンなど、少し変わったものになります。

第二級アミンの付加反応

第二級アミンをアルデヒドまたはケトンと反応させたときも、第一級のときと同様の反応が起こります。

しかし、脱水反応の際に第一級アミンではアミン自身のH+が抜けていましたが、第二級には該当する水素原子がないため、基質の H+ が抜け落ちます。その結果、生成物はイミンではなく、エナミンになります。

Grignard 試薬による C-C 結合反応

有名かつ重要な反応に、この「Grignard (グリニャール)試薬」を用いた炭素-炭素結合生成反応があります。

教科書によっては「グリニャール」ではなく「グリニャー」と書いてあるかもしれませんが、同じものです。また、Grignard 試薬を用いる反応なので、「Grignard 反応」とあっさりした書き方をすることもあります。

さて、この反応は上述のとおり、2つの炭素原子間で結合を作りたいというときに活躍します。

まずは Grignard 試薬についてですが、これは R-MgX で示される化合物群の総称で、R にアルキル基、X にハロゲンが入ります。たとえば、CH3 CH2 MgBr といった感じです。

アルデヒドやケトンにこの Grignard 試薬を反応させると、以下のような反応機構によって、アルコールが生成します。

上図を見てもわかるように、Grignard 試薬は R の部分が δ- に帯電しているため、求核剤になります。この求核剤が、アルデヒド(またはケトン)のカルボニル炭素を攻撃することで C-C 結合が生成し、水で後処理をすることによって、アルコールを得ることができます。

基質がアルデヒドのときには、この反応により第二級アルコールが生成し、基質がケトンのときには、この反応により第三級アルコールが生成します。

また、Grignard 試薬の代わりにアルキルリチウム試薬(R-Li)を用いても、同様の反応が進行します。

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