エーテル類の性質
エーテル類は、一般式 R-O-R’ で表される化合物群です。
分子間で水素結合を形成しないため、同じ分子量のアルコールと比べると沸点が低くなります。例えばエタノール(CH3CH2OH)の沸点が 78 ℃であるのに対し、ジメチルエーテル(CH3OCH3)の沸点は-24 ℃です(ともに分子量は 46)。
また、エーテルは極性が小さいため、有機溶媒には溶けやすい一方、水には溶けにくいことが多いです。
ただし、分子量の小さいエーテルは水との水素結合により、少しは水に溶けます(エーテル分子間では H 原子がないので分子間での水素結合はありませんが、水分子との水素結合は起こります)。
エーテル類の反応
エーテルは一般的には反応性が低く、そのために有機反応の溶媒として用いられます。
しかし、臭化水素酸(HBr aq.)やヨウ化水素酸(HI aq.)などの強酸と反応させると開裂が起こります。ちなみに、臭化水素酸、ヨウ化水素酸とは、臭化水素、ヨウ化水素の水溶液のことです。塩化水素(HCl)の場合、その水溶液は塩化水素酸ではなく、塩酸と呼びます。
話がそれましたが、強酸による開裂により、エーテルはアルコールとハロアルカンに分かれます。
また、エーテル(R-O-R’)の R がフェニル基を、 R’ がアリル基(-CH-CH=CH2)を持つ特殊な構造の場合、これを加熱すると、Claisen (クライゼン)転位という特徴的な反応が起こります。その反応式は以下のようなもので、分子内の転位反応です。
コメント