フェノール・チオールの抗酸化作用

食品の成分表示によく、酸化防止剤(ビタミン E)などと書かれていることがあります。ビタミン E はフェノール類の一種ですが、このようにフェノール類やチオール類には抗酸化作用があります。

不対電子を持った原子や分子、イオンのことをラジカルと呼びます。これらラジカルは 8 電子則(オクテット則)を満たさないため非常に不安定で、反応性に富んでいます。

熱や紫外線、酸素などの存在下でたまたま活性酸素(ラジカルの一種)が生成してしまうことがあるのですが、この活性酸素は反応性の高さから、食品中では酸化による腐敗を促したりタンパク質を変性させたりします。

一方、生体内で活性酸素が作られると、DNA の損傷を引き起こすなど、やはり悪さをします。

これらの悪影響を防止するために、フェノール類・チオール類の抗酸化作用が活躍します。その反応機構を説明するため、まずは以下の反応式を見てください。

活性酸素は RCOO・ で表されています。「・」がラジカルです。

フェノールは最初、1 分子の活性酸素と反応し、活性酸素に水素ラジカルを渡します。すると自身がラジカルになりますが、続いてもう 1 分子の活性酸素と反応することでパラベンゾキノンに変わり、反応系からラジカルがなくなります。

よって、フェノール類は活性酸素(ラジカル)を除去する作用を持ち、これが抗酸化作用を持つといわれる所以です。

このような抗酸化フェノールとして有名なものはビタミン E のほか、ビタミン C 、カテキン、タンニンなどがあります。

チオール類に関しては、活性ラジカルによりチオールが酸化されてジスルフィドを生じます。これにより、食品や生体内物質が酸化されずに済むので、フェノール類同様、抗酸化作用を持ちます。

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