アルコール類の性質と反応(2)

この項では、アルコール類の反応の中でも O-H 間の反応について解説をします。C-O 間の反応については前項を参照してください。

アルコール類の反応(O-H 間の反応)

O-H の開裂反応で最も単純なものは、-OH が-ONa に代わる反応です。つまり、アルコールにナトリウムのようなアルカリ金属を反応させると、金属アルコキシドを生成します。

前項で、アルコールは基本的には中性ですが、時に酸や塩基としても働くという説明をしました。この反応は、アルコールが酸として働いている例です。

また、上記の応用として、Williamson (ウィリアムソン)エーテル合成という重要な反応があります。これは、基質がアルコールで、生成物がエーテルとなる反応です。その反応例を以下に示します。

1 段階目では、アルコールに強塩基(NaH がよく使われます)を反応させることでアルコキシドが生成します。

続く 2 段階目でハロゲン化アルキルを作用させると SN2反応が起こり、その結果としてエーテルを得ることができます。

これがエーテルを合成するための重要反応、Williamson エーテル合成です。

上記とは別に、アルコールの酸化反応も O-H 間の反応として有名です。

第一級アルコールは酸化するとアルデヒドに、さらに酸化するとカルボン酸になります。

第二級アルコールは酸化することでケトンになります。

第三級アルコールは酸化されません(されにくい、としたほうが正確ですが、されない、と覚えて差し支えないと思います)。

酸化剤は、過マンガン酸カリウム(KMnO4)や二クロム酸カリウム(K2Cr2O7)、クロム酸(CrO3)などが用いられます。

また、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を使って第一級アルコールを酸化させると、カルボン酸まで行かず、アルデヒドで反応が止まります。PCC は特徴的な酸化剤なので、ぜひ覚えておいてください。

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