粉体とは、多くの粒が集まったもののことです。様々な形状と粒子径を持つ粒子の集合体といえます。粒子の径の分布の仕方は、粒度分布と呼ばれます。粉体の性質は、構成粒子の粒子径により大きく左右されます。
例として、粒子径が、0.1mm の粒が 10 粒、0.2mmの粒が20粒・・・といったように、0.1mm間隔で下の表のような粒度分布をしていたとします。
0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
10 20 50 40 20 10
※ 0.1mmの粒が 10 粒といっても、全ての粒が 0.1 mmというわけではなく、測定して一番近い所が、0.1mm 刻みでいうと 0.1mm という意味です。
つまり、0.1mm の所にカウントされている 10 粒は、実際には例えば 0.07 , 0.08 , 0.08 , 0.09 , 0.10 、0.10 , 0.10 , 0.11 , 0.11 , 0.12 (単位はmm) といった径の分布をしているということです。
この時、モード径は、0.3mmとなります。モード径とは、最も頻度が多かった半径のことです。
メジアン径は、0.29mmになります。メジアン径は、粒を小さい方から数えていって、丁度真ん中の粒の径です。このデータでは、全部で150粒なので、75粒めの径です。0.25~0.35mmにあるので、31粒め~80粒めが、均等に粒度分布していると仮定し、0.25 + 0.1 × (45 ÷ 50) = 0.29 です。
他にも、算術平均径(D1)、面積・長さ平均径(D2)、体面積平均径(D3)、質量平均径(D4)があります。それぞれの定義を式で示すと、以下のようになります。
これらの径には、粒度分布によらず、D1 < D2 < D3 < D4 になるという性質が知られています。
粒子径の測定法は、大きく2つの方法が用いられます。すなわち、ふるいわけ法と、顕微鏡法です。これらの測定法により、粒度分布を求めることができます。ふるいわけ法とは、ふるいを用いて粒子径を測定する方法です。顕微鏡法とは、顕微鏡で直接粒子径を測定する方法です。
顕微鏡で実際に粒子を見ると、粒子はさまざまな形をしています。そのため、どこを径とみなすかという問題があり、主に4つの径が用いられます。すなわち、フェレ―径、ヘイウッド径、マーチン径、クルムバイン径です。それぞれ下図のような径のことです。
更に他の粒子径測定法としては、コールターカウンター法と、沈降法が知られています。
コールターカウンター法とは、粒子を電解質を含む分散媒に分散させ、細い孔の両側に電圧をかけることにより粒子を通過させる事により、粒子が通過する際の電気抵抗を測定することで粒子の数及び大きさを測定する方法です。
沈降法とは、粒子の沈降速度を測定し、ストークス式により粒子径を算出する方法です。
粒子の比表面積も、粒子の性質を左右する重要な要素です。比表面積の測定には気体吸着法が用いられます。
気体吸着法とは、粉体試料に吸着する気体量をもとに、比表面積を算出する方法です。気体吸着法では、粒度分布は求めることができません。気体吸着法は大きく2つに分類されます。すなわち、透過法及び、吸着法です。
透過法とは、粉体層の中を流体が通過する際の抵抗の大きさを測定し比表面積を求める方法です。比表面積をSw(S は比表面積を意味するSpecific Surface , w は、粒子単位質量あたりということで weight の略と思われます。)とすると、以下のコゼニーカーマン式がなりたつことが知られています。
吸着法とは、粉体粒子の表面に、面積のわかっているガス分子を吸着させその量から比表面積を求める方法です。単分子の吸着量に関してはラングミュア-式が成立します。以下の式です。
又、ラングミュア-式を多分子層にまで拡張させた吸着量に関する方程式が、BET式です。以下の式です。
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