血液凝固・線溶系の機構

血液は酸素や栄養の運搬を担っています。血液の流出は人体の機能維持に致命的であるため、発達した止血の仕組みがヒトには備わっています。

止血は大きく一次止血と、二次止血に分類されます。
一次止血の実体は、血小板です。損傷した部分に血小板が凝集します。この時重要な役割を果たすのがコラーゲンです。コラーゲンは血管内皮に含まれる組織ですが、血管が損傷し、コラーゲンが表面に露出することをきっかけに血小板が凝集することで一次止血が行われます。

二次止血の実体は、フィブリンと呼ばれる繊維状の糖タンパク質の集合体です。フィブリンは、フィブリン・モノマー(分子量約 33 万)の重合体です。フィブリン・モノマーは、フィブリノーゲンと呼ばれる血液中の前駆体タンパク質から、トロンビン(タンパク質分解酵素)により活性化されて合成されます。

フィブリン・モノマーは、IV 因子(Ca2+)の作用により互いに重合してフィブリン・ポリマーになります。さらに、第 VIII 因子(抗血友病因子)により、ポリマー間の架橋がなされ安定化します。

IV 因子、VIII 因子といった名前が示すように、血液凝固には多くの因子が存在します。そして、血液凝固において多くの因子が連鎖的に反応をおこしますが、これは反応を連鎖的に起こすことで即座に止血を実現する仕組みが発達した結果だと考えることができます。

イメージとしては連絡網が発達しているクラスを考えるとよいかもしれません。1 人が 3 人に、3 人が 3 人ずつに、、、と連絡していけばどんどん多くの人に連絡ができるように、多くの因子で連鎖的に反応を起こすことでフィブリン形成を素早く大量に実現することができるのです。

とはいえ、血が固まりすぎるのも問題です。そこで人には、血液を溶かすような仕組みも備わっています。それが線溶系と呼ばれるものです。

線溶系の実体は、プラスミンというタンパク質分解酵素です。プラスミンはフィブリンを溶かします。プラスミンは過剰にならないように、様々な調節因子により調節されています。

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