血管系の機能と構造

血管は、血液を送る通路となる管です。血管は全身に血液を送る管であり、全身にわたって互いに繋がっています。全体として、血管系と呼ばれます。血管系は、動脈、静脈、毛細血管からなります。

動脈から出た血液は、毛細血管を経て、静脈へと戻ってきます。血液の成分である血漿は、血液循環の過程において一部が血管壁から滲出し、周囲の細胞と細胞の間を埋める液体を構成しています。この滲みでた血漿のことを、組織液と呼びます。

血管の壁は、3層構造になっており、内膜、中膜、外膜からなります。静脈にはところどころ弁があり、血液の逆流を防いでいます。毛細血管の壁は、内皮細胞1層のみからなります。

血管の内皮細胞には、M3 受容体が存在しており、アセチルコリンなどの投与によって Gq タンパク質を介してホスホリパーゼ C の活性化、ジアシルグリセロール( DG )、イノシトール三リン酸( IP3 )の生成が引き起こされて、その結果、一酸化窒素( NO )が放出されます。

NO は、グアニル酸シクラーゼ( GC )を活性化し c GMP を上昇させます。これにより、血管平滑筋は弛緩し、血流量は多くなり、血圧は下がります。

この NO は、血管内皮細胞において産生されているものです。NO 合成酵素( NOS )により合成されます。NOS にはいくつかのアイソザイムが知られています。代表的な NOS として、神経型( nNOS )、誘導型( iNOS )、内皮型( eNOS )の3つが知られています。

nNOS は、神経組織などに発現しているNOSです。iNOS は、炎症性サイトカイン( TNF-α など)により発現を誘導され、免疫系の活性化に関与している NOS です。eNOS は、血管内皮細胞などに発現している NOS です。

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