問 題
ラジカル重合に関する次の記述の ㋐、㋑ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。
「ラジカル重合速度論において、次に示すような素反応のみが重合速度に関与すると考える。
ここで、I は開始剤、R・ は開始剤の分解により生じるラジカル種、M はモノマー、P・ はポリマーラジカル種、P は生成ポリマーとする。また、ポリマーラジカル種の全濃度を [P・]、モノマーの濃度を[M] とする。成長反応速度 Rp が次のように定義されるとき
Rp =kp [P・][M]
ラジカル種の濃度が一定であるという定常状態近似を用いると、成長反応速度は開始剤濃度の㋐乗に㋑することが導かれる。ただし、成長反応の速度定数 kp はポリマーラジカル種の分子量にかかわらず一定とする。」
㋐ ㋑
1. 1/2 比例
2. 1/2 反比例
3. 1 反比例
4. 2 比例
5. 2 反比例
正解.1
解 説
定常状態近似というのは、濃度が変わらないという仮定です。ラジカル種に注目すると、開始反応の2番目の式における反応速度定数を ki2、停止反応における反応速度定数を ks とおけば
d[P・]/dt = ki2[R・][M]-ks[P・]2 =0となります。
次に[R・]に注目すれば、開始反応における1番目の式の反応速度定数を ki1とおくと
d[R・]/dt = 2ki1[I] – ki2[R・][M] = 0 です。
2つの式をまとめると、[P] が、[I] の 1/2 乗に比例するとわかります。以下のような流れです。
成長反応速度 Rp の式の[P・]に代入すれば、Rp は開始剤濃度([I]) の 1/2 乗に比例するとわかります。
以上より、正解は 1 です。
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