国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R1年 問35解説

 問 題     

ラジカル重合に関する次の記述の ㋐、㋑ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「ラジカル重合速度論において、次に示すような素反応のみが重合速度に関与すると考える。

ここで、I は開始剤、R・ は開始剤の分解により生じるラジカル種、M はモノマー、P・ はポリマーラジカル種、P は生成ポリマーとする。また、ポリマーラジカル種の全濃度を [P・]、モノマーの濃度を[M] とする。成長反応速度 Rp が次のように定義されるとき

Rp =kp [P・][M]

ラジカル種の濃度が一定であるという定常状態近似を用いると、成長反応速度は開始剤濃度の㋐乗に㋑することが導かれる。ただし、成長反応の速度定数 kp はポリマーラジカル種の分子量にかかわらず一定とする。」

  ㋐ ㋑
1. 1/2 比例
2. 1/2 反比例
3. 1  反比例
4. 2  比例
5. 2  反比例

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

定常状態近似というのは、濃度が変わらないという仮定です。ラジカル種に注目すると、開始反応の2番目の式における反応速度定数を ki2、停止反応における反応速度定数を ks とおけば
d[P・]/dt = ki2[R・][M]-ks[P・]2 =0となります。

次に[R・]に注目すれば、開始反応における1番目の式の反応速度定数を ki1とおくと
d[R・]/dt = 2ki1[I] – ki2[R・][M] = 0 です。 

2つの式をまとめると、[P] が、[I] の 1/2 乗に比例するとわかります。以下のような流れです。

成長反応速度 Rp の式の[P・]に代入すれば、Rp は開始剤濃度([I]) の 1/2 乗に比例するとわかります。

以上より、正解は 1 です。

類題 28-19,27-19

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