国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H30年 問72解説

 問 題     

NaCl 水溶液の浸透圧に関する次の記述の ㋐、㋑、㋒に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。ただし,気体定数を 8.31 × 103 Pa・L/(K・mol)、NaCl の電離度,式量をそれぞれ 1、58.5 とする。

「0.10 M NaCl 水溶液の 27 ℃ における浸透圧は ㋐ × 105 Pa である。これは、例えばヒト赤血球と比較すると ㋑ であるので、この溶液にヒト赤血球を加えると ㋒ する。」

  ㋐ ㋑ ㋒
1. 2.49 低張 膨張
2. 2.49 高張 膨張
3. 4.99 低張 膨張
4. 4.99 低張 収縮
5. 4.99 高張 収縮

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
浸透圧 π = cRT です。NaCl は電離度 1 なので、0.1 mol/L であれば、c は 0.2 となります。27 ℃ は 300 K になおします。π = 0.2 × 8.31 × 103 × 300 なので大体 4.99 × 105 です。正解は 3 ~ 5 です。 

㋑ ですが
等張溶液の代表例として、0.9% 生理食塩水、5% ブドウ糖溶液などがあります。0.9% 食塩水であれば 1L 中に 9g なので 9/58.5 mol/L です。0.1M よりも大きいです。従って、0.1M NaCl 水溶液は「低張」です。正解は 3 or 4 です。

㋒ ですが
低張な溶液から高張溶液側へ水が移動するため、赤血球は「膨張」します。

以上より、正解は 3 です。

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