国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H30年 問68解説

 問 題     

残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)とは、毒性、難分解性、生物蓄積性及び長距離移動性を有する有機化学物質である。POPs に関する記述㋐、㋑、㋒のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 有機塩素系殺虫剤の DDT は、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約により、製造・使用が全面的に禁止された。

㋑ ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、脂溶性が高く、食物連鎖を通して高次栄養段階の生物に濃縮されることが知られている。

㋒ 塩素数 8 以上の PCB は、塩素数4 未満のPCB に比べて蒸気圧が高いため、大気経由で拡散し、極地域に沈着・蓄積しやすい。

1.㋐
2.㋐、㋒
3.㋑
4.㋑、㋒
5.㋒

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
DDT は「制限的に禁止」です。全面的にではありません。マラリア予防としての有用性などが理由です。

㋑ は妥当な記述です。

㋒ ですが
一般に塩素が多くなると融点・沸点が高くなります。分子間相互作用が増えるからと考えられます。すると沸点が高いということは、蒸気圧は相対的に低いと考えられます。蒸気圧が低いから、より熱してあげないと気体にならないからです。よって、㋒ は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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