国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H30年 問50解説

 問 題     

白血病の病態とその治療薬に関する記述㋐〜㋓のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ リツキシマブは、BcrーAbl チロシンキナーゼ活性を選択的に阻害して、抗腫瘍薬として作用する。

㋑ 慢性骨髄性白血病や一部の急性リンパ性白血病においては、第 9 番染色体と第 22 番染色体
の転座によるフィラデルフィア染色体が認められる。

㋒ トレチノインは、細胞膜受容体であるビタミン D 受容体を阻害するので、急性前骨髄球性白血病の治療に用いられる。

㋓ インターフェロン α は、腫瘍細胞の増殖を抑制するので、慢性骨髄性白血病の治療に用いら
れる。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋐、㋓
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
リツキシマブは「CD20」を標的とした分子標的薬です。CD 20 は、B細胞表面分子です。可変部が、マウス由来のキメラ抗体です。モノクローナル抗体です。「Bcr-Abl チロシンキナーゼ阻害薬」ではありません。よって、㋐ は誤りです。

㋑ は妥当な記述です。

㋒ ですが
トレチノインは、ビタミン A 誘導体です。トレチノイン(all – trans retinoicacid,ATRA)は「急性前骨髄球性白血病細胞を分化誘導」することによりその増殖能力を失わせます。ビタミン D 受容体阻害ではありません。よって、㋒ は誤りです。

㋓ は妥当な記述です。

以上より、正解は 4 です。

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