国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H30年 問24解説

 問 題     

ボーアの水素原子モデルに関する次の記述の ㋐、㋑、㋒ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「原子核を中心とした半径 r の円周上を、質量 m の電子が速さ v で等速円運動している水素原子(ボーアの水素原子モデル)を考える。原子核の質量は、電子に比べ十分に大きく、原子核は動かないものとする。また、電気素量を e、真空の誘電率を ε0、プランク定数を h とする。
このとき、電子の受ける遠心力 rmv2 とクーロン力 e2/4πε0r2 との釣合いと、ボーアの量子条件

㋐ = nh/2π(n=1、2、3、…)

を考慮することで、水素原子の量子化されたエネルギー En = -me4/8ε02h2n2 が得られる。

水素原子のイオン化エネルギーが 13.6 eV であることから、n = 2 から n = 1 へ遷移する際に放射する光子のエネルギーは ㋑eV と求められる。水素類似原子とみなすことができる Li2+ に、このモデルを適用することで、Li2+ のイオン化エネルギーは ㋒eV と求めることができる。」

  ㋐ ㋑ ㋒
1.mv  3.4 54.4
2.mv  3.4 122
3.mvr 3.4 1100
4.mvr 10.2  122
5.mvr 10.2  1100

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
ボーアの量子条件は mvr = nh/2π です。正解は 3 ~ 5 です。

㋑ ですが
水素原子がイオン化:「 H → H+ + e 」です。この時のエネルギーが 13.6eV ということなので、電子の基底状態である E1 の数値部分が 13.6 と考えられます。問題文の等式に n = 2 を代入すれば E2 = E1/4 = 3.4 とわかります。n = 2 → n = 1 に遷移する際のエネルギーは、13.6 と 3.4 の差です。つまり 10.2 とわかります。正解は 4 or 5 です。

㋒ ですが
Li2+ では、クーロン力における正電荷が 3 倍になります。クーロン力は 正電荷、負電荷の積が分子なので、正電荷が 3 倍になれば「e2」の部分が 3 倍です。すると、エネルギーの式における「e4」は、 「e2」の 2 乗だから、9 倍になるはずです。水素原子において E1 がイオン化エネルギーで、13.6 だったので、Li2+ のイオン化エネルギーは 13.6 × 9 ≒ 122 と考えられます。(Z 依存性を知っていれば 32 をすぐ掛けてよいと思われます。)

以上より、正解は 4 です。

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