国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H30年 問8解説

 問 題     

ヘモグロビンとミオグロビンに関する次の記述㋐〜㋓のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。なお、酸素と結合したヘモグロビン、ミオグロビンを、それぞれ酸素ヘモグロビン、酸素ミオグロビンと呼ぶ。

㋐ 酸素濃度が一定であれば、二酸化炭素濃度が低いほど、酸素ヘモグロビンの割合は低い。

㋑ 一般的な生理学的条件下で、二酸化炭素分圧を一定に保ち、同じ酸素分圧で比較すると、胎児のヘモグロビンの方が、成人のヘモグロビンよりも酸素と結合しやすい。

㋒ 筋肉では、一部の酸素ヘモグロビンは酸素を離し、ミオグロビンがその酸素と結合することにより、酸素が蓄えられる。

㋓ 筋肉では、酸素濃度が高くなると、より多くの酸素ミオグロビンが酸素を離すため、酸素が供給される。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋐、㋓
4.㋑、㋒
5.㋑、㋓

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
CO2 濃度が高いところほど、O2 需要が高いです。酸素の運び手である HbO2 は、O2 親和性が下がることで O2 を放出します。従って、逆に CO2 濃度が低ければ、そこでは O2 を放出しないため、HbO2 の割合は「多い」と考えられます。よって、㋐ は誤りです。

㋑、㋒ は妥当な記述です。
胎盤を介した低酸素環境に対応するため、胎児ヘモグロビンの酸素結合能は相対的に高いです。
ミオグロビンの方がヘモグロビンより少し酸素結合能が高いです。

㋓ ですが
酸素濃度ではなく、二酸化炭素濃度が高くなると MbO2 が O2 を離します。よって、㋓ は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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