国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H29年 問56解説

 問 題     

DDS に関する記述㋐〜㋓のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ C 型肝炎治療薬ペグインターフェロン aー2b は、PEG 化修飾により、肝臓への標的指向化を行っている。
㋑ 長期徐放性注射剤の中には、生分解性ポリマーが使用されている製剤がある。
㋒ マトリックス型薬物放出制御製剤の場合、製剤からの薬物の放出にラグタイムが観測される。
㋓ バラシクロビルは、消化管上皮細胞の PEPT1(ペプチドトランスポーター)により輸送される。

1.㋐、㋒
2.㋐、㋓
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
ポリエチレングリコールを結合させることを PEG 化といいます。目的は、水溶性の向上、血中濃度の維持(糸球体ろ過の抑制 など)、抗原性の低下、タンパク質分解酵素に対する安定性向上などです。PEG 化により血中濃度が維持され全身に長く存在するようになる、というのが大きなメリットの一つです。肝臓への標的指向化という目的はありません。よって、㋐ は誤りです。

㋑ は妥当な記述です。
酢酸リュープロレリンの徐放性注射剤などが代表例です。

㋒ ですが
マトリックス型製剤とは、全体を基剤と混ぜ込んでゆっくり放出させるタイプの製剤です。表面から徐々に薬物が放出されるため、ラグタイムは観測されません。ラグタイムが観測されるのは膜制御型などです。よって、㋒ は誤りです。

㋓ は妥当な記述です。

以上より、正解は 4 です。

参考 製剤学まとめ 代表的な徐放性製剤における徐放化の手段
類題 99-283

コメント