国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H29年 問27解説

 問 題     

吸着に関する記述㋐、㋑、㋒のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 吸着質と吸着剤(吸着媒)の間のファンデルワールス力によって起こる吸着は、物理吸着である。
㋑ 一般に、化学吸着におけるエンタルピー変化は正である。
㋒ ラングミュアの吸着等温式における表面被覆率は、吸着質の分圧に常に比例する。

1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋐、㋑、㋒
4.㋐、㋒
5.㋑

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐ は妥当な記述です。
吸着は大きく物理吸着と化学吸着に分類されます。ファンデルワールス力=分子間力 による吸着は物理吸着です。共有結合による吸着が化学吸着です。

㋑ ですが
吸着とは、動きの束縛と考えられます。「自由度が低下」するため「エントロピー(S)」は低下します。ΔG = ΔHーTΔS です。ΔG < 0 が自発的反応の進行です。従って、吸着反応において一般的に、H は大きく低下します。エンタルピー変化は「負」です。ちなみに、ΔH < 0 なので、一般的に発熱反応です。よって、㋑ は誤りです。

㋒ ですが
「常に」ではありません。被覆率を θ 、平衡定数を K とおくと、θ = Kp/(1+p) です。p が大きくなればなるほど 1 に近づくのですが、これは「比例」、つまり θ = ap という形ではありません。ちなみに、p が小さい領域においては、ほぼ比例するといってよい関係です。よって、㋒ は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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