国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H29年 問22解説

 問 題     

13 族元素に関する記述 ㋐、㋑、㋒ のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ ジボラン B2H6 において、ホウ素原子はいずれも sp3 混成軌道を用いて水素原子と結合している。
㋑ 単体のアルミニウムは、水酸化ナトリウム水溶液には溶けるが濃硝酸には溶けにくい。
㋒ 純度の高いケイ素の結晶に、微量の13 族元素(ガリウム等)を添加すると、n 型半導体となる。

1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋐、㋒
4.㋑
5.㋑、㋒

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐、㋑ は妥当な記述です。

ジボランは、下図のようにそれぞれのホウ素原子が 4 つの H と結合を形成します。特に中央の 2 つの H は、三中心二電子結合 (B-H-B) を形成する と表現されます。

アルミニウムは、酸にも塩基にも溶ける両性元素の代表例です。水酸化ナトリウムに溶けます。また、アルミニウムは酸化皮膜を形成し、いわゆる不動態となります。このため濃硝酸には溶けにくいです。両性元素は「ああすんなり→Al、Zn、Sn、Pb」、不動態形成は「Fe,Al,Ni,Co」などが知られています。

㋒ ですが
ケイ素に微量の 13 族、つまり B,Al,Ga 等の「電子不足」の原子を微量添加すると、正孔生成されて P(Positive)型半導体となります。n(Negative) 型となるのは、5価の P などを添加した場合です。よって、㋒ は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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