国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問95解説

 問 題     

遺伝病に関する次の記述の㋐、㋑、㋒に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「変異対立遺伝子の頻度が 0.02( 2 パーセント)である常染色体性の劣性遺伝病を想定する。夫、妻ともにこの遺伝病の兄弟をもつ夫婦がいる。この夫婦2 人とその各々の両親4 人はいずれも遺伝病ではない。

このとき、妻が遺伝病の変異対立遺伝子の保因者である確率は ㋐ である。また、この夫婦の第一子が保因者である確率は ㋑ である。さらに保因者である子供が成長し結婚して子供をもうけたとすると、第一子が遺伝病である確率は ㋒ パーセントである。」

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

「劣性遺伝病を有する兄弟がいる」ということ、及び、両親が遺伝病ではない ことから、両親共に劣性遺伝子 保因者(Aa のような遺伝子)であることがわかります。この両親からの子どもとしてありえる遺伝子は AA , Aa × 2 , aa です。遺伝病ではないため、AA , Aa × 2 の3つがありえる通りです。その中で保因者である確率は 2/3 です。正解は 4 or 5 です。

母親からは、保因者でなければ劣性遺伝子を受け継ぎません。確率は 1/3 × 1 = 1/3 です。保因者である場合、配偶子形成により 1/2 で a が受け継がれます。受け継がれない確率は 2/3 × 1/2 = 1/3 です。従って、劣性遺伝子を受け継がれない確率は 2/3 です。従って、1- 2/3 = 1/3 の確率で、子どもに母親から劣性遺伝子が受け継がれます。

父親からの劣性遺伝子を受け継ぐ確率も同じはずです。つまり、1/3 です。すると、保因者である確率は 1/3 × 2/3 + 2/3 × 1/3 = 4/9 です。㋑ は 4/9 です。

保因者である子どもの配偶子に 劣性遺伝子が含まれる可能性は 1/2 です。そして、結婚相手に関して、変異対立遺伝子頻度が 2% なので、2% × 1/2 = 1% です。㋒ は 1 です。

以上より、正解は 4 です。

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