国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問70解説

 問 題     

農薬の土壌吸着に関する記述㋐〜㋓のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ パラコートの粘土鉱物に対する吸着は、ファンデルワールス力に起因する。吸着力が弱いパラコートは、植物根から吸収されやすいため、土壌処理型の除草剤として使用される。

㋑ DDT は、脂溶性の化合物であり、粘土鉱物には吸着されにくいが、土壌中の腐植にはよく吸着される。したがって、有機物含量が多い土壌ほど、DDT の吸着量が多くなる。

㋒ パラチオンの粘土鉱物に対する吸着量は、モンモリロナイトなどの 2:1 型よりもカオリンなどの 1:1  型のほうが多い。

㋓ 土壌中でCNP から生じたCNP-アミノ体は、土壌中の腐植酸分子のキノン構造部分と反応して結合するため、吸着力が強く、土壌中に長期間残留する。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
正電荷が窒素上にあるパラコートの構造を見たことがあるのではないでしょうか。ファンデルワールス力とは、分子間力です。電荷を有するのであれば、クーロン力起因と考えられます。よって、㋐ は誤りです。

㋑ は妥当な記述です。
DDT は、ジクロロジフェニルトリクロロエタンの略です。

㋒ ですが
日本にほぼ見られないモンモリロナイトなどの2:1型の方が、肥もちがよいといった点から考えて、吸着量はモンモリロナイトの方が多いと考えられるのではないでしょうか。よって、㋒ は誤りです。

㋓ は妥当な記述です。
CNP は、クロルニトロフェンです。

以上より、正解は 4 です。

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