国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問69解説

 問 題     

農薬の製剤に関する記述㋐〜㋓のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 有効成分を能率よく散布し薬効を確保するため、農薬製剤には補助剤が加えられている。補助剤には、界面活性剤、炭化水素類やアルコール類などの溶剤、ケイソウ土や粘土などの固体希釈剤(担体)がある。

㋑ 水和剤は、有効成分を有機溶媒に溶かし、界面活性剤を加えた水に溶かしたものであり、噴霧機を用いて施用する。粉剤に比べ対象(作物や害虫など)に対する付着効率が悪いため、単位面積当たりの薬量が多く必要になる。

㋒ 粒剤は、有効成分を高分子物質の薄膜で覆った微粒子である。膜の性質や厚さを変えることにより、有効成分の放出を制御できるため、薬効の持続性を高めることができる。

㋓ くん蒸剤は、有効成分を加熱して煙霧化し、くん煙に用いられるようにした剤であり、発熱剤や助燃剤を含む自然式と外部熱源で加熱する方式がある。主にハエやカなどの衛生害虫の駆除に用いられる。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋓
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ は妥当な記述です。

㋑ ですが
水和剤は、水に溶かして使用する剤形です。また、液体の方が固体よりも付着効率は高いと考えられます。よって、㋑ は誤りです。

㋒ ですが
粒剤はクレーなどの鉱物質に農薬原体を練りこんだタイプや、多孔性鉱物質に原体をしみ込ませたタイプなどです。高分子薄膜で覆った微粒子は「マイクロカプセル剤」です。よって、㋒ は誤りです。

㋓ は妥当な記述です。

以上より、正解は 2 です。

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