国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問48解説

 問 題     

抗ウイルス薬に関する記述㋐〜㋓のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 抗 HIV 感染症薬のジドブジンは、HIV の増殖・感染サイクルにおいて必須の役割をするプ
ロテアーゼに結合してその機能を阻害することにより、HIV 増殖を抑制する。
㋑ 抗インフルエンザウイルス薬として使用されるオセルタミビルは、インフルエンザウイルス
のRNA 依存性DNA ポリメラーゼを競合的に阻害することにより、ウイルス増殖を抑制する。
㋒ アマンタジンは、A 型インフルエンザには有効であるが、B 型には無効である。アマンタジ
ンの作用機序には、ウイルスの宿主細胞内での脱殻の阻害が挙げられる。
㋓ アシクロビルやバラシクロビルは、DNA ポリメラーゼを阻害することにより、DNA ウイ
ルスである単純ヘルペスウイルスや帯状疱疹ウイルスの DNA 合成を阻害する。

1.㋐、㋑、㋒
2.㋐、㋒、㋓
3.㋐、㋓
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

㋐ ですが
ジドブジンは、核酸系逆転写酵素阻害薬の一種です。抗HIV薬です。HIV感染細胞内で、リン酸化され、活性化体となって、逆転写酵素を阻害することで作用します。プロテアーゼ阻害薬ではありません。よって、㋐ は誤りです。

㋑ ですが
オセルタミビルは、ノイラミニダーゼ阻害薬です。RNA 依存性 DNA ポリメラーゼ阻害薬ではありません。よって、㋑ は誤りです。

㋒、㋓ は妥当な記述です。

以上より、正解は 5 です。
類題 97-165

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