国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問28解説

 問 題     

金属塩化物の結晶に関する記述㋐、㋑、㋒のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ セン亜鉛鉱型の構造をもつ CuCl では、Cl- イオン及び Cu+ イオンがともに立方最密充填に配列している。
㋑ 蛍石型の構造をもつ BaCl2 では、Cl- イオンの配位数が4 であり、Ba2+ イオンの配位数が8 である。
㋒ 岩塩型の構造をもつ AgCl では、Cl- イオンが六方最密充填に配列して、その正四面体型の空孔の全てに Ag+ イオンが入っている。

1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋐、㋒
4.㋑
5.㋑、㋒

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐、㋑ は妥当です。
「立方最密」の中でも、セン亜鉛鉱(立方晶系 ZnS)型では、それぞれのイオンが面心立方格子をとっています。ちなみに、ウルツ鉱(六方晶系 ZnS)型では、それぞれのイオンが立方最密格子をとります。

蛍石(CaF2)構造は、塩化セシウム型同様、体心立方格子型です。格子中の陽イオンが交互に空で、イオン比が1:2の構造です。陽イオンが 8配位の面心立方格子を形成し、陰イオンは、正四面体配位します。

㋒ ですが
岩塩型、つまり NaCl 型は、「それぞれのイオン」が「面心立方格子」をとり、六配位します。よって、㋒ は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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