国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問24解説

 問 題     

N2 分子の光電子スペクトルに関する次の記述の ㋐、㋑、㋒ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。なお、光のエネルギーE〔eV〕と波長 λ〔nm〕には、E = 1240/λ の関係が成り立つ。

「波長 58. 4 nm の紫外線を N2 分子に照射したところ、光電子が生成し、その最大運動エネルギーは 5. 63 eV であった。基底状態における N2 分子の電子配置を、(1σg2(1σu2( 2σg2(2σu2(1πu4(3σg2とすると、この光電子は ㋐ 軌道から放出されたものと考えられ、このときのイオン化エネルギーは ㋑ eV と推定できる。このイオン化によって生成したN2+ の結合次数は、N2 のそれより ㋒ なる。」

㋐ ㋑ ㋒
1. 1σg  15. 6  小さく
2. 1σg  21. 3  大きく
3. 3σg  5. 63  大きく
4. 3σg  15. 6  小さく
5. 3σg  21. 3  小さく

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
エネルギー準位が最も高い所の電子が放出されます。電子配置は、エネルギー準位の低い方から書かれています。よって、3σg です。正解は 3 ~ 5 です。

㋑ ですが
波長 58.4 nm の光のエネルギーは、1240/58.4 ≒ 21.2 です。放出された電子のもつ最大運動エネルギー が 5.63 なので、差の 15.6 ぐらいが、イオン化に必要だったエネルギーと推定されます。

㋒ ですが
g は、g の方、つまり「結合性軌道」です。結合性軌道に配置している電子は 1 個で+0.5 と読みます。これが放出されたので、結合次数は「小さく」なります。

以上より、正解は 4 です。
類題 H27no24

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