国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H27年 問89解説

 問 題     

光学顕微鏡観察に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ レンズの開口数が大きいほど分解能が高く、像も明るくなる。
㋑ レンズの倍率が低いほど像が明るく、焦点深度も浅くなる。
㋒ 蛍光顕微鏡は分解能以下のサイズのものでも検出できる。
㋓ 位相差顕微鏡は偏光の干渉を利用するもので、生細胞の観察に使われる。

1. ㋐ ㋒
2. ㋐ ㋓
3. ㋑ ㋒
4. ㋑ ㋓
5. ㋒ ㋓

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐ は妥当な記述です。
開口数とは、イメージとしては、その名の通りサンプルからレンズまでの開き具合です。大きいほど分解能が高く、像も明るくなります。倍率が同じであればより開口数が大きい方が基本的によい像が得られると考えてよいです。

㋑ ですが
低倍率の方が明るいという前半は正しい記述です。
焦点深度とは、顕微鏡で標本上のある 1 点にピントを合わせたときに、同時にピントが合って見える範囲のことです。焦点深度が深いと、厚みのある標本でも全体にピントが合ってはっきり見えます。逆に焦点深度が浅いと、ピントの合う範囲が狭いため、標本にピントを合わせるのが難しくなります。焦点深度は対物レンズの開口数と総合倍率に逆比例します。よって、㋑は誤りです。

㋒ は妥当な記述です。

㋓ ですが
位相差顕微鏡は「回折光」の干渉を利用します。「偏光」の干渉を利用するのは微分干渉顕微鏡です。よって、㋓は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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