国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H27年 問61解説

 問 題     

食品の貯蔵に関する記述㋐~㋓のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 食品の乾燥は、食品中の水分活性を低下させ、貯蔵性を高めるのに有効な方法である。食品
を凍結後、減圧(真空)条件下で水分を昇華させて取り除く真空凍結乾燥法は、風味や香りの損
失が少なく、水による復元性もよい乾燥方法であり、インスタントコーヒーなどに利用される。

㋑ 食肉や魚介類では、冷凍貯蔵中でも乾燥と自己消化が進み、「冷凍焼け」という品質劣化を招くことがある。これを防ぐため凍結させた食品の表面を薄い氷の層で覆うパーシャルフリージングなどが行われる。

㋒ 野菜、果実において、酵素反応による劣化を防ぐため、熱による酵素失活処理が行われる。これをブランチングといい、乾燥保存や凍結貯蔵の際の前処理として利用される。

㋓ 糖蔵は、食品に糖類を添加し、浸透圧の作用などにより貯蔵性を高める方法である。ショ糖は、同一重量の転化糖と比べ、浸透圧が高く、貯蔵効果が大きいため、果実の保存食であるジャムなど、糖蔵で最も一般に使用される糖類である。

1. ㋐ ㋑ ㋒
2. ㋐ ㋑ ㋓
3. ㋐ ㋒
4. ㋑ ㋓
5. ㋒ ㋓

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ は妥当な記述です。

㋑ ですが
冷凍焼けとは、長期間冷凍保存に伴い、水分が抜けたり油脂が酸化したりすることにより、風味や食感が変化する現象のことです。「自己消化」が進んでいるわけではありません。
ちなみに、「薄い氷の層で覆う」のは、グレージングと呼ばれます。パーシャルフリージングとは、-3℃付近での冷凍のことです。よって、㋑ は誤りです。

㋒ は妥当な記述です。

㋓ ですが
ショ糖とは、スクロースです。転化糖とは、酸または酵素により、ショ糖(スクロース)を、グルコース及びフルクトースにまで分解させた糖です。そのため、同一重量であれば、モル数は転化糖の方が多いです。従って浸透圧も転化糖の方が高くなります。よって、㋓ は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

コメント