国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H27年 問47解説

 問 題     

ニトログリセリンなどの硝酸化合物は狭心症の治療薬として用いられる。次の記述のうちニトログリセリンの作用として最も妥当なのはどれか。

1. 心拍数の低下
2. 冠状動脈に選択的な血管拡張
3. 心臓の後負荷の上昇
4. 心臓の前負荷の上昇
5. 心臓への静脈還流の減少

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

ニトログリセリンは、硝酸薬です。

硝酸薬を服用すると、体内でNO(一酸化窒素)が遊離されます。NO は、血管平滑筋のグアニル酸シクラーゼを活性化します。その結果 GTP からの cGMP 生成が促進されます。この結果、冠動脈の血管拡張が引き起こされます。さらに、末梢静脈が拡張することにより、前負荷が減少することにより心筋の酸素消費が減少します。これらの複合的な効果により、狭心症に対して作用します。

実際の臨床では、舌下錠として用いられ速やかに吸収されることにより、発作の治療薬として用いられています。


選択肢 1 ですが
心拍数の低下ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
「選択的」ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3,4 は明らかに誤りです。負荷上昇ではありません。

以上より、正解は 5 です。

参考 薬理学 2-4 3)
類題 98-158(薬剤師国家試験)

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