国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H27年 問5解説

 問 題     

マルコフニコフ則及びザイツェフ則に関する次の記述の㋐~㋔に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「プロペンに水が付加し、アルコールが生成するとき、主生成物は ㋐ である。一般に、ハロゲン化水素や水が付加するとき、二重結合している炭素原子のうち、より ㋑ 水素原子と結合している方に水素原子が付加しやすい。このような傾向をマルコフニコフ則といい、反応中間体であるカルボカチオンの安定性によって説明される。

また、2 – ブタノールが脱水し、アルケンが生成するとき、主生成物は㋒ である。一般に、二重結合を形成している炭素原子により ㋓ 炭化水素基が結合したアルケンの方が生成しやすい。このような傾向をザイツェフ則という。これはより安定なアルケンが生成するということを意味しており、この観点によれば、生成物に幾何異性体が存在する場合には ㋔ の方が生成しやすい。」

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

マルコフニコフ則は、アルケンの付加反応で、H がより多い方に H がつくという経験則です。安定なカルボカチオン中間体を経由することによります。プロペンに 水付加であれば、 2- プロパノールが主生成物ということです。正解は 3 ~ 5 です。

ザイツェフ則とは、脱離反応において、末端アルケンよりも内部アルケンといった、熱力学的により安定な生成物が主生成物という経験則です。2ーブタノールの脱水であれば、1-ブテンと 2ーブテンが考えられますが、2ーブテンが主生成物となります。また、アルケンは 幾何異性体がある場合、一般に trans の方が安定です。従って、㋔ が trans 形です。

以上より、正解は 5 です。
参考)有機化学 2-2 4)3-2 4)

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