国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H26年 問82解説

 問 題     

抗体の放射性ヨウ素標識に関する次の記述の ㋐、㋑、㋒に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「抗体(分子量約15万)を酸化剤であるクロラミン T を使って放射性ヨウ素標識すると、 ㋐ 残基が主に標識される。サイズ排除クロマトグラフィーで抗体に結合していない放射性ヨウ素を除去する際に、抗体の分子量より排除限界が十分に ㋑ 担体を使った場合、抗体は ㋒ 容量に溶出される。」

㋐ ㋑ ㋒
1. ロイシン 小さい ボイド
2. ロイシン 小さい ベッド
3. ロイシン 大きい ベッド
4. チロシン 小さい ボイド
5. チロシン 大きい ボイド

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

チロシンが、ヨウ素を含む甲状腺ホルモンであるチロキシンの前駆体であることから、放射性ヨウ素による標識で標識されるアミノ酸残基はチロシンと判断できるのではないでしょうか。㋐ はチロシンです。正解は 4 or 5 です。これにより、㋒ はボイドとわかります。

ちなみにボイド容量とは、ゲル粒子外側における液相部分の容量のことです。抗体がくっつくことで分子量はとても大きくなります。排出限界とは、要するにゲル粒子の穴の大きさと考えればよいです。

排出限界以上の大きさの分子量の物質は、ゲルの内部に入れず、すぐに溶出されます。「抗体がボイド容量に溶出」されるためには、排出限界が十分に抗体の分子量よりも「小さい」必要があります。

以上より、正解は 4 です。

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