国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H26年 問63解説

 問 題     

デンプンに関する次の記述のうち最も妥当なのはどれか。

1. アミロースは、グルコースが β-1,4 結合によって長く結合したもので、らせん構造をしている。一方、アミロペクチンは、グルコースが β-1,4 結合によって長く結合するものの、ところどころで β-1,6 結合によって枝分かれし房状構造をしている。

2. アミロースは、分子中に還元末端が一つのみ存在し、ヨウ素デンプン反応では褐色を呈する。一方、アミロペクチンは、分子中に多数の還元末端が存在し、ヨウ素デンプン反応では、赤紫~青紫色を呈する。

3. 生デンプンは、ミセル構造をもつため水に溶解しにくく、消化されにくい。生デンプンに水を加えて加熱すると、ミセルの水素結合が不安定になり、水が浸入してデンプン分子に水和し、膨潤して消化されやすくなる。

4. デンプンが老化すると、消化酵素の作用を受けやすくなり、消化されやすくなる。デンプンの老化は、温度が高いほど、また、pH が高いほど起こりやすい。

5. デンプンは、動植物の細胞外にデンプン粒として存在する。デンプン粒は、動植物によって粒径、形状が異なる。

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

選択肢 1 ですが
グルコースの「α(1→4)」で結合が続いていく、枝分かれのない直鎖構造をしたものをアミロースと呼びます。βー1,4 結合が続いたものはセルロースです。また、グルコースのα(1→4)とα(1→6)で結合し、枝分かれのある構造をしたものを、アミロペクチンと呼びます。β ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
アミロース、アミロペクチン共に還元性は有しません。また、ヨウ素デンプン反応では、アミロースが濃青色、アミロペクチンが赤紫色を呈色します。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
でんぷんの老化とは、糊化した後に水がしみ出る現象のことです。老化は温度の低下に伴い早く進行します。ほかほかのご飯が、冷えてカチカチになることを考えるとわかりやすいと思います。また、でんぷんが老化すると、消化酵素も作用しなくなります。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
デンプン粒は、細胞内に存在します。「細胞外」ではないと考えられます。よって、選択肢 5 は誤りです。動植物により粒径、形状が異なるという記述は妥当です。

以上より、正解は 3 です。

参考)生化学 4-2 3)

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