国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H26年 問46解説

 問 題     

硫黄を含む生体内分子に関する記述 ㋐、㋑、㋒ の正誤の組合せとして最も妥当なのはど
れか。

㋐ システインの側鎖のチオール基は、セリンの側鎖の水酸基と比べると、酸性度が小さい。
㋑ S – アデノシルメチオニンは正電荷を帯びた硫黄原子をもち、硫黄原子に結合したメチル基
を利用して生体内のメチル化反応に関与する。
㋒ チアミン二リン酸はチアゾール環をもつ補酵素で、硫黄原子による求核反応を経由してアル
ドール反応や α – ケト酸の脱炭酸反応に関与する。

㋐ ㋑ ㋒
1. 正 正 誤
2. 正 誤 正
3. 誤 正 正
4. 誤 正 誤
5. 誤 誤 正

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
システインとセリンは、SH 基と OH 基の違いしかありません。そして、一般にチオールはアルコールと比較して酸性度が高い官能基です。これは S- の方が O- よりもより安定だからです。従って、チオール基の方が酸性度が高いため、㋐は誤りです。

㋑ は妥当な記述です。

㋒ですが
チアミン二リン酸は、チアミン(ビタミン B1)の活性型です。チアゾール環における N と S に挟まれた 部分が負電荷を有して求核反応を経由して、脱炭酸反応等に関与します。「硫黄原子による求核反応」ではありません。よって、㋒ は誤りです。

以上より、誤、正、誤です。正解は 4 です。

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