国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H26年 問34解説

 問 題     

光学活性物質の反応に関する次の記述の ㋐、㋑、㋒ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。ただし (ー)ー 塩化 α – フェニルエチルの比旋光度は-109 とする。

「(ー)ー 塩化 α – フェニルエチルの加水分解反応におけるラセミ化と反転の割合を調べるために次の実験を行った。

反応に用いた塩化 α – フェニルエチルはやや光学純度が低く、実測された比旋光度は-34であっ
た。この物質の光学純度は ㋐ である。これを原料にして、アルコールを合成したところ、生成物の鏡像体の物質量比は 52:48であった。この生成物の鏡像体過剰率(e.e.)は ㋑ であり、光学純度と e.e. が同等の意味をもつと考えると、この反応におけるラセミ化と反転の割合は ㋒ となる。」

㋐ ㋑ ㋒
1. 31% 2% 87:13
2. 31% 4% 87:13
3. 31% 4% 96:4
4. 65% 2% 96:4
5. 65% 4% 96:4

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ ですが
100% であれば ー109 なので、ー34 ならば大体 31% と考えられます。正解は 1~3 です。

㋑ ですが
多い方から少ない方を引けばよいので 52 – 48 = 4% です。

㋒ ですが
反応に用いた塩化 α – フェニルエチルの光学純度を 31% ≒ 30%と近似して考えます。「光学純度と e.e. が同等の意味をもつと考えると」とあるので、e.e が 30% と読み直せば、生成物の鏡像体の物質量比は 65:35 です。そして、反応の結果、e.e が 4% になっています。

「ラセミ化 87:反転 13」と仮定すると、反転したものの差が e.e なので 65 × 0.13 = 8.45、35 × 0.13 = 4.55 となり、差が ほぼ4です。一方、ラセミ化 96:反転4と仮定すると 65 × 0.04 = 2.6、35 × 0.04 = 1.4 となり、差が ほぼ 1 となります。87:13 が妥当と考えられます。

以上より、正解は 2 です。

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