国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H26年 問5解説

 問 題     

一置換ベンゼンのニトロ化に関する次の記述の ㋐ ~ ㋖ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「硝酸と硫酸の混合物による芳香環のニトロ化は、芳香環をニトロイルイオン(ニトロニウムイオン、NO2+)が攻撃し、水素と置き換わる形式で進むが、芳香環に置換基がある場合、置換基効果により反応の活性化への影響や置換される位置の偏りが生じる。

置換基による効果には、誘起効果と共鳴効果があり、配向性と反応性の違いは、これらの効果によって制御される。例えばトルエンのニトロ化の場合、メチル基は ㋐ の誘起効果を示し配向性は ㋑ 配向であり、ベンゼンより反応性に ㋒。

また、フェノールのニトロ化の場合、水酸基は ㋓ の誘起効果と、㋔ の共鳴効果を示し、配向性は ㋕ 配向であり、ベンゼンより反応性に ㋖ 。」

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

メチル基は、電子供与性です。配向性は o,p です。基本知識です。これにより、正解は 1 or 2 です。

フェノールについては、酸素原子の電気陰性度が高いため、電子求引性の誘起効果を示します。また、電子供与性の共鳴効果を示します。結果として、ベンゼンよりも反応性に富みます。

以上より、正解は 2 です。

参考 有機化学まとめ 反応性・配向性に及ぼす置換基の効果

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