遺伝の基本法則

遺伝の基本法則は3つあります。
顕性(旧:優性)の法則、分離の法則、独立の法則です。

・両親が共に黒髪 → 子も黒髪 
・父由来、母由来のゲノムを子はそれぞれ受け継ぐ 

という前提 をふまえると、父が黒、母が白であればどうなるのでしょうか。まず、黒髪、白髪のように「互いに対になるような遺伝する形質」を対立形質と呼びます。これは用語としてよく使うので忘れないようにしましょう。そして「両親から受け継いだ対立形質について、片方(顕性(けんせい))の形質のみ子に現れる」という法則が顕性(旧:優性)の法則です。ちなみに、現れない形質は潜性(せんせい)といいます。 

次に分離の法則についてです。
DNA の塩基配列において、対立形質をコードしている部分を、顕性であれば大文字アルファベット1文字、潜性であれば小文字アルファベット1文字で表します。黒髪=A、白髪=a といった表現です。ずっと黒髪の家系において、父は AA、母も AA を細胞内に持っていて、父から A、母からも A を受け継ぐことで、子は AA を受け継いで黒髪となります。

父がずっと黒、母がずっと白の家系で 父 AA から A、母 aa から a を受け継いで、子が Aa を細胞内に持っているパターンを考えます。顕性が A で黒なので、子は黒髪です。子世代に受け継がれる、自分が持っているゲノムの半分を有する特別な細胞を配偶子といいます。ヒトであれば精子及び卵細胞が該当します。

配偶子を作る時に、対立遺伝子である A,a はかならず分離し、それぞれの配偶子に1つずつ含まれる というのが分離の法則です。「ん・・・?何いってるんだ?Aa が A と a に分かれるのは当たり前では・・・?」と思ったのではないでしょうか。一つの形質だとわかりにくいので、もう一つの形質を表す B 及び b を加えて説明します。

父は AABB 、母 aabb だったとします。すると子は AaBb なんですが、ここで父の配偶子を考えます。AABB が半分になる と考えると AA,AB,BB というパターンが考えられます。ここで「対立遺伝子は必ず別になる」ため、AAのうち一つ、BBのうち一つがそれぞれ選ばれて配偶子となります。つまり「AA や BB っていう遺伝子の組み合わせを持つ配偶子はない」ということです。

最後に独立の法則です。
先程の例のように、2対以上の対立遺伝子があっても、各対立遺伝子の分離及び再結合が独立かつ自由に行われる というのが独立の法則です。AaBb から配偶子を作る時、「A と a は別」、「B と b は別」となり、その後 Aa の A or a と Bb の B or b が再結合して配偶子ができます。以下のような組み合わせとなるということです。赤丸で囲った部分が再結合した後の配偶子です。

例外としては連鎖という現象があり、先程の例で言うと AaBb から配偶子を作ると A には必ず B が、a には必ず b がセットになるというパターンもあります。配偶子として AB or ab しかできないのが、独立の法則の例外である連鎖の一例となります。

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