化学結合と化合物の性質

化学結合とは
複数の原子を結びつける結合のことです。大きく分子内における分子内結合と、分子同士における分子間結合に大別します。分子内結合は、イオン結合、共有結合、金属結合に分類されます。それぞれの分子内結合について、以下説明します。

イオン結合は
陽イオンと陰イオンによる静電気力に基づく結合です。イオン結合からなる代表的分子は NaCl です。Na が陽イオン Na+、Cl が陰イオン Cl となります。

共有結合は
非共有電子対を互いに共有することによる結合です。非常に強い結合である、という点が特徴です。共有結合からなる代表的分子は H2、CH4 などです。

互いに電子を共有するのが原則ですが、NH3 において、N の持つ非共有電子対を、電子を持たない H+ が全て受け取り NH4+ ができるように「一方的な電子供与」による結合もありえます。一方的電子供与による結合は、結果的に共有結合と変わらないのですが、特に「配位結合」と呼ばれます。

共有結合やイオン結合で結びついている分子は一般に結合力が強く、そのため融点や沸点が高い傾向にあります。

金属結合は
電子が余っている金属原子が集まり「陽イオン+自由電子」で結び付けられる結合です。共有結合、イオン結合のイメージは、原子同士が手を繋ぐイメージですが、金属結合においてそれぞれの原子は陽イオンの粒で、それぞれの粒の間に電子が潤滑剤のようにつるつる流れているイメージです。金属には叩くと伸びる展性、延性があるのですが、原子レベルで見ると各原子核の位置束縛が弱く、衝撃で原子核がずるずるっと滑るために見られる性質と表せます。

サラッと読んだと思うのですが、マクロな性質をミクロな視点から妥当に記述できてます!これ、目隠しで砂漠にパラシュートで落とされて、周り全く見ずに砂一粒だけみせられた時に、しばらくうーんと考えてから「この粒がずっと広がっているのであれば、ここはめったに雨が降らない地域で乾燥している領域と考えられる」って言ってるようなもんだからすごい見方、考察といえるのではないでしょうか。

薬学から少し離れるのですが、共有結合でできている分子(例えば H2) も金属のような性質をもたせるために、めちゃくちゃ高温で電子を自由に動かした上で気体にならないように高圧条件下におけば『金属水素』を作れるんじゃないかな?などの話題にも発展する内容です。

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