分子の極性

分子を構成する原子の種類が異なる場合、各原子が電子を引き寄せる力が異なるため、わずかに電子が豊富な原子とわずかに電子が不足する原子ができます。電子を引き寄せる力を表すパラメータとして、電気陰性度が知られています。電気陰性度が最も大きい元素は F (フッ素) です。例外はあるのですが、周期表において右上ほど、電気陰性度が高い傾向があります。

以下、分子の例として、H2 と H2O を考えましょう。
H2 (水素分子)を構成する原子は H のみです。電気陰性度に違いはありません。一方、H2O (水分子)を構成する原子は H と O です。O の方が周期表上で右上寄りなので、電気陰性度が高いです。すると O がわずかに電子豊富です。「わずかに電子豊富」であることを δ(デルタマイナス)、「わずかに電子不足」を δ+(デルタプラス)と表します。分子において電荷の偏りがわずかに見られる際、正電荷の重心と負電荷の重心が一致しない場合、分子が極性を有するといいます。重心を考えるため、分子の形が分極と大きな関係を持ちます。

2原子分子は、電気陰性度の違いの有無が極性の有無を左右しました。3原子以上からなる分子の極性については、形、特に「中心原子と結合している原子数+非共有電子対」から形が推測できます。「中心原子と結合している原子数+非共有電子対」を n とすると、n = 2なら直線、3なら三角形、4なら四面体が基本の形です。ただし分子の形を考える時、非共有電子対は含まないことに注意が必要です。

H2O を例に説明します。
H2O の中心原子は O です。O は 2つの H と結合しています。また、O の最外殻電子は 6 個あり、そのうち 2 個の電子がそれぞれ H の有する 1 個の電子と共有電子対を作ります。すると、非共有電子が 4つ、非共有電子対は 2 つ存在します。従って、n = 4 で四面体が基本です。非共有電子対を含まない「分子の形」は折れ線形とわかります。以下がイメージです。

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