麻薬及び向精神薬取締法

麻薬及び向精神薬取締法は、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出等についての取締りや麻薬中毒者への措置などを規定した法律です。大麻取締法、覚せい剤取締法、あへん法と合わせて、いわゆる薬物四法と呼ばれます。

代表的な麻薬は、モルヒネやコカインです。特別に規制される麻薬として、ジアセチルモルヒネ(ヘロイン)があります。これは、極めて強い依存性を形成する麻薬です。麻薬研究施設の設置者及び、麻薬研究者が厚生労働大臣の許可を受けて用いる以外は禁止という、強い規制をされています。

又、注意が必要なのが、コデイン、ジヒドロコデインです。1% を超える コデイン、ジヒドロコデインは、麻薬です。※ 1 %以下のコデイン、ジヒドロコデインは、家庭麻薬という分類になり、非常に紛らわしいのですが家庭麻薬は、麻薬ではありません。

向精神薬は、医療上の有益性・濫用の危険をふまえ、第 1 種向精神薬から第 3 種向精神薬に分類されています。代表的な、第 1 種向精神薬は、メチルフェニデート(リタリン)です。代表的な、第 2 種向精神薬は、フルニトラゼパム(サイレース、ロヒプノール)です。第 3 種向精神薬は、1,2種以外の向精神薬です。

【麻薬との関わり】
実際の仕事で、大部分の薬剤師が麻薬と関わりを持つのは、卸さんから、薬局又は病院に麻薬を仕入れる時と、実際に麻薬処方せんが出て、患者さんにお渡しする時です。卸さんから麻薬を受け取る時は、政府発行の証紙で封かんした状態で譲渡・譲受を行います。この時、譲渡証と、譲受証を交換します。又、帳簿を備え、譲渡、譲受けした品名、数量を記載し 2 年間保存しなければなりません。

麻薬小売業者間、例えば薬局間での麻薬の譲渡は原則認められていません。ただし、在庫不足の場合に限り、同一都道府県内の2つ以上の小売業者が厚生労働大臣へ共同して許可申請することで譲渡・譲受できます。ちなみに、麻薬小売業者、及び 麻薬卸売業者の免許を与えるのは都道府県知事です。

麻薬の保管は、基本的に他と区別し、かぎ付きで堅固な設備内に保管します。※覚せい剤と一緒に保管するのは OK です。

麻薬の廃棄は、原則、届出ののち、当該職員の立ち会いのもと、回収不能な形で廃棄します。調剤済み麻薬に関しては事前届出は不要で、廃棄から30日以内に品名と数量を届出る必要があります。

※麻薬処方せんの記載事項!
① 患者の氏名、年齢(または生年月日)
② 患者の住所
③ 麻薬の品名、分量、用法、用量(投薬日数を含む)
④ 処方せんの使用期間(有効期間)
⑤ 処方せん発行年月日
⑥ 麻薬施用者の記名押印または署名、免許番号
⑦ 麻薬診療施設の名称、所在地
(院内処方せんの場合は、②、④、⑦の記載を省略できる。)

【向精神薬との関わり】
実際の仕事で、大部分の薬剤師が、向精神薬と関わりを持つのは、麻薬と同様に、卸さんから、薬局又は病院に向精神薬を仕入れる時と、処方せんに向精神薬が出ていて、患者さんにお渡しする時です。処方せんにより、調剤した向精神薬を譲り渡すには、向精神薬小売業者の免許が必要です。免許は都道府県知事が与え、有効期間は 6 年間です。ちなみに、薬局開設者は、特に申出がない限り向精神薬小売業者の免許を受けた者とみなされます。

向精神薬の保管は、業務に従事する者が、盗難の防止に必要な注意を払う場合を除き、かぎをかけた設備内でないとだめです。

又、向精神薬の廃棄は、回収困難な方法で行う必要があります。

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