糖尿病とその合併症の病態生理、治療薬、注意点

糖尿病とは、慢性的に血糖値が高くなる病気です。血糖はインスリンというホルモンにより調節を受けますが、インスリン分泌が少なくなったり、うまく作用しなくなることにより、糖尿病が引き起こされます。高血糖は、それだけでは何の症状もありませんが、慢性的高血糖状態が続くと、血管障害がおき、それにより網膜症、腎障害、末梢神経障害(これらは三大合併症と呼ばれます)などが引き起こされます。

糖尿病は、1 型糖尿病と 2 型糖尿病に分類されます。
1 型糖尿病とは、インスリンが絶対的に欠乏している糖尿病です。自己免疫性であったり、特発性であったりといった原因により、インスリンを産生する膵臓β細胞が破壊されることが原因です。2 型糖尿病はインスリン分泌が低下したり、インスリンに対する標的臓器の感受性が低下(インスリン抵抗性)することによる糖尿病です。又、妊娠中の糖尿病は特に、妊娠糖尿病と呼ばれます。

糖尿病の症状は、初期は無症状です。高血糖の状態が続くと、のどがやけに渇く、急にやせる、おしっこの回数が増えるといった症状があらわれます。

又、糖尿病性ケトアシドーシスにより、重症例では意識障害がおきることがあります。ケトアシドーシスとは、インスリン不足により組織における糖利用が低下し、その補償機構として脂肪酸分解(β酸化)が進むことで、代謝物であるケトン体の生成が亢進し、血液のpHが酸性に偏ることです。血中のpHは通常7.35~7.45に保たれていますが、pH7.35未満をアシドーシスと呼びます。

糖尿病であるかどうかは、4つの指標により判断されます。参考)代表的な内分泌・代謝疾患に関する検査

1型糖尿病の治療はインスリン療法です。インスリン療法においては、自己注射になるため、投与法の正しい理解、低血糖症状への対応法の指導が重要です。2型糖尿病の治療は、まず適切な食事、運動療法です。目標の血糖コントロールが達成できない時、経口血糖降下薬や、インスリン製剤が用いられます。

糖尿病治療薬については、薬理学まとめ 糖尿病治療薬 参照

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