食道癌、胃癌、肝癌、大腸癌、胃炎、薬剤性肝障害、胆石症、虫垂炎、クローン病の概説

食道癌とは、食道に発生するがんの総称です。食道とは、のどと胃の間をつなぐ管状の臓器です。日本人の食道がんは、ほとんどが表面の扁平上皮におけるがんです。食道への物理的刺激(煙草、アルコールなど)が誘引とされています。(欧米では、半数以上が、腺上皮と呼ばれる、上皮の特殊な一部におけるがんです。食事の欧米化に伴い、日本でも腺がんの比率が増えることが予想されています。がんの種類により、治療戦略が変わってくるため、このような分類に意味があります。)

一般的には手術療法が第一選択になることが多いです。

胃がんとは、胃粘膜上皮から発生したがんです。発生率が高く、死亡率も肺がんについで高いがんです。(2012年現在)表面からより深い部分へと進行していき、進行の深達度による分類として、Bormann分類が知られています。原因として注目を浴びているのがH.Pylori菌による慢性の炎症です。他にも、塩分の多い食事や煙草は、胃がんの発生を増加させることが知られています。

外来治療では、TS-1(テガフール、ギメラシル、オテラシル配合剤)がよく用いられます。

肝臓がんは、肝臓に見られるがんです。原発性と、多臓器からの転移(主に門脈系から)に分類されます。原発性は、多くが肝細胞由来です。肝細胞がんの多くは肝硬変から発生します。C 型肝炎ウイルス感染→慢性化→肝硬変→肝がん が主な流れです。腫瘍マーカーとして、PIVKAーⅡ、AFP などが用いられます。

治療として、エタノール注入、経カテーテル動脈塞栓法、ソラフェニブなどが用いられます。

大腸がんとは、大腸に発生するがんです。肛門のがんを含みます。近年急増しているがんの1つであり、女性のがん死亡原因の1位です。(2012年現在)原因は不明ですが、食生活や遺伝との関連があることが示唆されています。発生部位としては、直腸が多いという特徴があります。初期症状は便通異常、腹痛、血便などです。

治療として FOLFOX 療法(5-FU、レボホリナート、オキサリプラチンの多剤併用療法)や FOLFIRI(5-FU、レボホリナート、イリノテカン)療法が用いられます。

胃炎とは、胃粘膜の炎症です。原因の多くは薬剤、ストレス、H.pylori感染です。薬剤では、特に NSAIDs が知られています。胃炎は、急性胃粘膜病変と慢性胃炎に分けられます。急性胃粘膜病変は、数日~数週間の経過で治癒します。慢性胃炎は慢性的に炎症が続く疾患です。胃粘膜の萎縮が生じます。胃粘膜萎縮は、胃酸や内因子の分泌減少につながり、様々な合併症を引き起こすことがあります。

薬剤性肝障害とは、薬物が原因である肝障害です。薬剤性肝障害は、あらゆる薬剤が原因となる可能性があります。主な起因薬物として、アセトアミノフェン、ハロタン、クロルプロマジン、アンピシリンなどが知られています。肝細胞障害型、胆汁うっ滞型、混合型の3つに大きく分類されます。

胆石症とは、胆道に結石ができる病気の総称です。原因は、コレステロール系結石と、色素結石が主な原因です。色素結石とは、感染症などによる炎症による結石のことです。結石ができる場所により、肝内結石、胆管結石、胆のう結石に分類されます。胆のう結石が、胆石症の約80%を占めます。

治療薬には、ウルソデオキシコール酸などが用いられます。

虫垂炎とは、虫垂の化膿性炎症です。10~20歳に多いという特徴があります。軽症の場合は抗菌薬の投与により経過観察となることがあります。(「ちらす」と称されます。)手術適応(切除)となることが多いです。

クローン病とは、口から肛門までに、非連続性の慢性肉芽腫性の炎症を生じる原因不明の炎症性疾患です。20歳代を中心とする若年者に好発するという特徴があります。

治療には、ステロイド、メサラジン、インフリキシマブなどの抗炎症薬が用いられます。又、消化管における炎症により、食事摂取が出来なかったり、吸収不良がおきるため、栄養療法も行われます。栄養療法とは、完全中心静脈栄養や、成分栄養療法といった療法のことです。具体的には、静脈や鼻、胃や腸に空けた穴からの栄養補給のことです。

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