虚血性心疾患の病態生理、治療薬、注意点

虚血性心疾患とは、心臓周囲の冠動脈が狭窄、閉塞して心臓に十分血液が供給されず、心筋が壊死し、心筋収縮力が低下することです。主な虚血性心疾患は、狭心症と心筋梗塞です。

狭心症は、心筋の壊死に至っていない状態のことです。狭心症は発作発現様式から、労作型狭心症と、安静型狭心症に分類されます。又、発作発生機序から、器質性狭心症、冠れん縮性狭心症、冠血栓性狭心症に分類されます。さらに、臨床経過から、安定狭心症、不安定狭心症に分類されます。

労作型狭心症とは、運動などをした時に発作がおこるような狭心症です。安静にすると、5分以内に発作が消失するような狭心症です。冠動脈硬化が主な原因です。安静型狭心症は、運動に関係なく発作がおこるような狭心症です。冠動脈のれん縮が主な原因です。

器質性狭心症とは、冠動脈硬化などにより、血管が狭まったことが原因で血流が悪くなることにより引き起こされる狭心症です。労作型狭心症の主な原因です。冠れん縮性狭心症は、冠動脈のれん縮が関与する狭心症です。安静型狭心症の主な原因です。冠血栓性狭心症は、一過性の血栓形成によるものです。

安定狭心症とは、発作の発現、症状が3週間以上安定しているような狭心症のことです。大部分が冠動脈硬化による血管の狭窄が原因です。不安定狭心症とは、3週間以内に新しく発症した狭心症、又は従来あった狭心症で、発生頻度や発作の持続時間が長くなったりしている狭心症のことです。薬の効き方が悪くなった場合も含まれます。心筋梗塞に移行しやすい状態といえ、注意が必要です。

狭心症の治療薬は、発作時治療薬と、発作予防治療薬に分類されます。

発作時治療薬として、硝酸薬があります。硝酸薬の使用時の注意点は、一過性の頭痛やふらつきがおきる事があるため、座ったり横になった状態で服薬するよう注意する必要があります。硝酸薬は1~2分で効果が発現します。5分程度経って症状が改善しないようであれば、更にもう1錠使用します。発作予防薬としては、β遮断薬、Ca2+ チャネル遮断薬、硝酸薬などが用いられます。

心筋梗塞は、心筋壊死に至った状態のことです。強い前胸部痛が高い確率でおきます。すぐに救急車を呼ぶことが必要です。

代表的な虚血性心疾患の治療薬に関する詳細は、薬理学まとめ 代表的な虚血性心疾患治療薬
 参照

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