不整脈の病態生理、治療薬、注意点

不整脈とは、心臓のリズムが乱れている状態です。正常な刺激の伝導は、洞房結節に始まり、心房に広がり、房室結節に集まり、ヒス束、プルキンエ繊維を通じて心室に伝わるという一連の流れです。(刺激の伝導に関しては「興奮伝導と心電図」の簡単なムービーがイメージを助けると思われるので、紹介します。)

発生部位によって、上室性不整脈と、心室性不整脈に分類されます。又、心拍数の変化により、頻脈性不整脈と、徐脈性不整脈に分類されます。

不整脈の発生機序は、リエントリー、異所性自動能の亢進、triggered-activity(撃発活動)などです。

リエントリーのイメージは、小さな子どもにお使いをたのんだらわけのわからない道をさまよって迷子になった上に、お店ではなく自分の家に戻ってくるイメージです。具体的には、心臓における興奮伝導路において迂回路ができてしまい、期外収縮がおきることをリエントリーと呼びます。

リエントリーがおきる必要条件が2つ知られています。1つは、伝導路の一部における一方通行路(興奮した場所へ、刺激が伝導して戻ってくることができる道)の存在です。もう1つは、一部遅延伝導路(一度興奮すると、一定期間再興奮ができないことから、刺激伝導が遅くなっている場所(たとえるなら凸凹道)が必要であるため)の存在です。

異所性自動能の亢進とは、洞結節以外で興奮が発生してしまうことです。原因はさまざまです。

triggered-activity(撃発活動)とは、活動電位の発生から再分極までの過程に見られる一過性の脱分極です。赤点線が示す早期後脱分極(EAD:early afterdepolarization)と、青点線が示す遅延後脱分極(DAD:delayed afterdepolarization)があります。イメージは以下のようになります。

抗不整脈薬などにより引き起こされます。

上室性頻脈性不整脈は、大きく3つに分類されます。発作性上室性頻拍、心房粗動、心房細動です。「上室性」とは、心房に原因があるという意味です。この順に、頻拍です。すなわち、発作性上室性頻拍→心拍数140~220/分、心房粗動→心拍数250~330/分、心房細動→心拍数350~600/分です。

心室性頻脈性不整脈は、大きく4つに分類されます。心室性期外収縮、発作性心室性頻拍、心室粗動、心室細動です。心室性の特徴は、突然死の原因になりうる重症性です。やはりこの順に頻拍です。頻拍になるほど、重症度も高いと考えてよいです。心室粗動、心室細動は、直ちに電気的除細動が必要な症状です。

その他の頻脈性不整脈として、WPW(Wolff-Parkinson-White)症候群、QT延長症候群があります。

WPW 症候群とは、心房からの興奮が、刺激伝導系以外に伝導してしまう不整脈です。原因の多くは、Kent 束と呼ばれる副伝導路の存在です。先天性のものが多く、心房細動から心室細動へと移行するケースがあり、危険な不整脈です。現在では、カテーテルアブレーションにより、副伝導路を焼ききることにより、外科的に根治が可能になっています。

徐脈性不整脈として、洞不全症候群、房室ブロックがあります。

洞不全症候群とは、主に洞結節の機能低下のことです。多くは原因不明です。アトロピンやイソプレナリンによる薬物治療後、無効ならペースメーカーの適応が考慮されます。房室ブロックとは、心房から心室への興奮伝導がブロックされ、遅延したり途絶したりすることです。重症度に基づき 1 度 ~ 3 度に分類されます。

抗不整脈薬の特徴、注意点については、薬理学まとめ 代表的な抗不整脈薬 を参照。

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