電離放射線の種類、物質との相互作用

電離放射線は、大きく粒子放射線と、電磁波放射線に分類されます。粒子放射線の代表例は、α 線、β 線です。電磁波放射線の代表例は、γ 線及び X 線です。

 

α 線は
物質と極めて大きい相互作用をします。具体的には、物質の軌道電子に電磁気的な影響を及ぼします。α 線の特徴はひたすら直進することです。又、α 線は紙1枚で遮断することができます

 

β 線は
α 線よりは小さい相互作用をします。β 線は、さらに β 線と β+ 線に分類されます。β 線、β+ 線について以下に述べます。

β 線の物質との相互作用は大きく3つに分類されます。すなわち、弾性散乱、非弾性散乱、制動放射です。

弾性散乱とは、原子核のそばを通る時、正電荷の影響を受けて進行方向が変わるような相互作用です。弾性散乱では、β 線の運動エネルギーは減少しません。

非弾性散乱とは、軌道電子などと作用し、進行方向を変えながら運動エネルギーを失うような相互作用のことです。

制動放射とは、弾性散乱とほぼ同じだが、進行方向が変わる時に減速するような相互作用です。減速に伴い、余分なエネルギーが制動 X 線として放出されます。

 

β+ 線は
放射されると運動エネルギーをだんだん失い、近くの電子 e と結合して消滅します。その際に 180°方向に2本の消滅放射線(消滅γ線)を放出します。

 

γ 線は
極めて小さい物質との相互作用をします。γ 線と物質との相互作用は大きく3つに分類されます。すなわち、光電効果、コンプトン効果、電子対生成です。

光電効果とは、γ線が物質の軌道電子と衝突し、全エネルギーを与えて電子を原子から放出させる現象のことです。放出された電子は特に光電子と呼ばれます。

コンプトン効果(コンプトン散乱とも呼ばれます。)とは、簡単にいうと全エネルギーを与えきれなかった光電効果のことです。γ線が物質の軌道電子と衝突し、電子を原子から放出させるとともに、エネルギーがある程度減少したγ線は進行方向を曲げられて散乱γ線として散乱する現象のことです。

電子対生成は、原子核のそばでγ線が消滅し陽電子と陰電子を生成する現象のことです。

 

X 線は
極めて小さい物質との相互作用をします。γ 線との違いは、発生場所です。γ 線は 原子核内から発生し、X 線は 原子核外から発生します。X 線は、γ 線より、一般的に長波長です。

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