分子間相互作用

分子間相互作用とは、2つ以上の分子間における相互作用のことです。相互作用の形式に基づき、大きく以下の7つに分類されます。

1)静電相互作用 → 電場あるいは磁場から電荷が力を受けるような相互作用のことです。例としては、イオン結合における Na+ と Cl の相互作用が挙げられます。

2)ファンデルワールス力 → 電荷を持たない中性の原子、分子間などで主となって働く凝集力の総称です。例としては、CO2 分子間の相互作用が挙げられます。

3)双極子相互作用 → 2つの分子間において働く力であり、分極している分子(双極子)間において生じるものです。例としては、「H(δ+)ー Cl(δ)」 「H(δ+)ー Cl(δ)」間の相互作用が挙げられます。

4)分散力 → 無極性分子において、電子分布の揺らぎに伴う、一時的な電気双極子間の相互作用により生じる力です。例としては、He 原子間における相互作用が挙げられます。

5)水素結合 → 特に強い双極子相互作用のことです。O-H や N-H といった部分は、H がδ+ 性を持ち、他の分子における N や O やハロゲン(δ)と相互作用します。この相互作用を水素結合と呼びます。特に、プロトンを与えている部分(O-H や N-H)をドナー受け取る側である O や N やハロゲンをアクセプターと呼ぶこともあります。

6)電荷移動による分子間相互作用 → 電子を供与可能な分子中の電子の一部が、他の分子に移動もしくは非局在化(分子全体に広がっていくこと)することです。言い換えると、分子がそれぞれ電荷を帯び、その結果分子間に引力が生じるような相互作用のことです。代表例は、ベンゼン-ヨウ素錯体です。それぞれの分子自体にはない、新しい光吸収体が出現することが特徴です。

この相互作用により生じる錯体は電荷移動錯体と呼ばれます。電荷移動錯体結晶の代表的な例は、テトラチアフルバレン-テトラシアノキノジメタン錯体です。

7)疎水性相互作用 → 疎水性化合物同士や、分子における疎水性領域が水中に存在する時に、周囲の水分子からはじかれた結果、集合体を形成するような相互作用のことです。弱い結合の代表の1つです。水中に油を垂らすと、油同士が集まろうとするのが例として挙げられます。

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