薬剤師国家試験 第97回 問190 過去問解説

 問 題     

30歳女性。動悸が主訴であった。半年ぐらい前から首が次第に太くなったことを自覚していた。首前面の腫大したところは、柔らかく特に触れて痛みはなかった。

【検査所見等】
BMI 18、脈拍 110/分 整、TSH 0.01μU/mL以下、FT 45.0ng/dL、コルチゾール 10.5μg/dL

使用される薬物として、適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. プロピルチオウラシル
  2. レボチロキシンナトリウム
  3. プロカテロール塩酸塩水和物
  4. プラゾシン塩酸塩
  5. プロプラノロール塩酸塩

 

 

 

 

 

正解.1, 5

 解 説     

TSH が著しく低いこと、FT4 値が基準(0.9~1.6ng/dL)より高いこと、コルチゾール値はそれほど高くないこと、脈拍が速いことなどから甲状腺機能亢進症(バセドウ病)が強く示唆されます。

プロピルチオウラシルは、甲状腺ホルモンをおさえる薬です。バセドウ病など、甲状腺機能亢進症に用います。

レボチロキシンナトリウムは、甲状腺ホルモンを補う薬です。甲状腺機能低下症などに用います。よって、選択肢 2 は誤りです。

プロテカロールは、β2 刺激薬です。吸入薬として、気管支喘息などに用いられます。頻脈をより悪化させるため、本問の患者への使用は不適切であると考えられます。よって、選択肢 3 は誤りです。

プラゾシンは、α 遮断薬です。高血圧や、前立腺肥大症に伴う排尿障害に用いられます。副作用に頻脈などがあるため、本問の患者への使用は不適切であると考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。

プロプラノロールは、β 遮断薬です。バセドウ病の治療において、頻脈などの症状を改善させるために処方されることがあります。

以上より、正解は 1,5 です。

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