薬剤師国家試験 第97回 問165 過去問解説

 問 題     

抗ウイルス薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. ジドブジンは、細胞内で水酸化を受けて活性化され、ウイルスの増殖に必要なプロテアーゼを阻害する。
  2. リトナビルは、ウイルスの逆転写酵素を競合的に阻害する。
  3. アシクロビルは、細胞内でアシクロビル三リン酸となり、ウイルスのDNAポリメラーゼを阻害する。
  4. ガンシクロビルは、ウイルスのノイラミニダーゼを阻害する。
  5. オセルタミビルは、その活性代謝物がウイルスの脱殻を阻害し、核内へのウイルスの侵入を阻止する。

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

ジドブジンは、核酸系逆転写酵素阻害薬の一種です。抗 HIV 薬です。HIV 感染細胞内で、リン酸化され、活性化体となって、逆転写酵素を阻害することで作用します。よって、細胞内で水酸化を受けるわけではないので、選択肢 1 は誤りです。

リトナビルは、プロテアーゼ阻害薬です。抗HIV薬です。よって、逆転写酵素を阻害するわけではないので、選択肢 2 は誤りです。

アシクロビルは、ウイルスに感染した細胞においてウイルス由来の酵素が関与するリン酸化を受けてアシクロビル三リン酸になります。アシクロビル三リン酸は、DNAポリメラーゼを阻害することで、ウイルスのDNA合成を阻害します。

参考) アシクロビルは、ガートルード・ベル・エリオンによって開発されました。この女性科学者は、1988年に、ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。彼女は、6-メルカプトプリン、アザチオプリン、アロプリノール、ピリメタミン、トリメトプリム、アシクロビルと、実に6つもの薬の開発を行いました→2019.11.05 追記 wiki によれば 8 つ!

ガンシクロビルは、アシクロビルと同様に、ウイルス由来の酵素が関与するリン酸化を受けて、ガンシクロビル5’-三リン酸になります。ガンシクロビル5’-三リン酸は、DNAポリメラーゼを阻害し、ウイルスのDNA合成を阻害します。よって、ウイルスのノイラミニダーゼを阻害するわけではないので、選択肢 4 は誤りです。

オセルタミビルは、ノイラミニダーゼ阻害薬です。よって、活性代謝物がウイルスの脱殻を阻害するわけではないので、選択肢 5 は誤りです。脱殻を阻害する抗ウイルス薬といえば、アマンタジンです。

以上より、正解は 3 です。

コメント