薬剤師国家試験 第97回 問164 過去問解説

 問 題     

抗菌薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. バンコマイシンは、DNAジャイレースを阻害し、細菌のRNA合成を抑制する。
  2. テトラサイクリンは、細菌リボソーム30Sサブユニットに結合し、アミノアシルtRNAのリボソームへの結合を阻害する。
  3. リファンピシンは、細菌リボソーム50Sサブユニットに結合し、タンパク質合成を阻害する。
  4. エリスロマイシンは、DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害し、細菌のDNA複製を阻害する。
  5. レボフロキサシンは、細胞壁ペプチドグリカン合成初期段階のUDPサイクルを阻害し、細菌の細胞壁合成を阻害する。

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

バンコマイシンは、グリコペプチド系抗生物質です。細胞壁合成酵素の基質である、D-アラニル-D-アラニンに結合し細胞壁合成酵素を阻害することで、抗菌作用を示します。よって、DNAジャイレースを阻害するわけではないので、選択肢 1 は誤りです。DNAジャイレースを阻害するのは、キノロン系抗菌薬です。

テトラサイクリンは、テトラサイクリン系抗生物質です。リボソーム30Sサブユニットに結合し、リボソームにアミノアシルtRNAが結合するのを阻害することで微生物の増殖を阻止します。

リファンピシンは、抗生物質の一種です。抗結核薬です。DNA 依存性 RNA ポリメラーゼを阻害して、RNA 合成を阻害することで殺菌的に作用します。又、CYP3A4 誘導能があることがよく知られています。よって、リボソーム 50S サブユニットに結合するわけではないので選択肢 3 は誤りです。50S サブユニットに結合するのは、マクロライド系抗生物質です。

エリスロマイシンは、14員環マクロライド系抗生物質です。50S サブユニットに結合し、タンパク質合成を阻害します。DNA 依存性 RNA ポリメラーゼを阻害するのは、リファンピシンです。よって、選択肢 4 は誤りです。

レボフロキサシンは、ニューキノロン系抗菌薬です。DNA ジャイレースを阻害することにより、抗菌作用を示します。この選択肢は、ホスホマイシンについての記述であると考えられます。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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